ディベロッパーの差で「賃料が倍」変わることも・・・
―― 飯田さんはフィリピンでどんなお仕事をされているのですか?
飯田 ハロハロホーム・フィリピン法人のマネージャーとして、現地スタッフのマネジメントをすることが主な仕事です。また、現地法人にいる日本人スタッフの中では、一番英語が得意ですので、日本オフィスと現地オフィス、現地ディベロッパーやブローカーなどとの情報の橋渡し、現地の法律関係やドキュメントの調査、翻訳、さらに永住権取得手続き関係などでは、移民局をはじめとした関係各所との交渉や書類準備なども行います。
また、ツアーのご案内もしています。いま弊社の永住権取得ツアーは、基本的に3泊4日ですが、1日フリーの日があるので、その際に現地不動産物件をご案内したり、ご希望の方には証券口座や銀行口座開設のお手伝いなども行っております。
―― フィリピン不動産の現況をどう見ていますか?
飯田 最近はずいぶん値上がりしています。私はこちらに来てから不動産の仕事を始めましたが、「やっぱり自分のお金で投資をしてみなければ、本当に投資家の立場になって考えることは難しいな」と思って、2年ほど前に貯金を全部はたいてマカティでコンドミニアムを1部屋買いましたが、その物件は、買値から80%くらい値上がりしています。
―― 2年ほどでそれだけの値上がりをするということは、ちょっとバブルになっていませんか?
飯田 「バブルだ」という人もいるのですが、私はそうは思いません。なぜなら、賃料もかなり上がっているからでです。私が来た当初は、マカティあたりの物件で、賃料が18,000ペソだったのが、いま25,000ペソくらいになっています。不動産の売値も上がっているけど、賃料も上がっているので、利回りはさほど落ちていません。不動産のバブルという感じではなく、経済全体が底上げされている感じです。
若年層が多い人口ピラミッド構成で、今後も人口増加が続く点からみても、不動産価格が下がることは、基本的に考えにくいですね。それに、フィリピンに住んでみればわかりますが、とにかく人々がみんなポジティブで、未来が良くなると信じてエネルギーにあふれている。そういう部分を日々感じているので、この国は伸びると素直に思います。
―― フィリピン不動産投資をするにあたって知っておいたほうがいい特徴はありますか?
飯田 ディベロッパーによる差が大きいことです。私が自分の物件を購入したときは、その同じディベロッパーが手掛けた物件で、築1年、3年、5年、10年、15年、20年と多くの物件を見て回り、その賃料、売買価格、管理状態、住民の状況などを徹底的に調べました。その上で、ここの物件なら長期的に保有しても大丈夫だろうと判断したのです。
しかし、ローカルのディベロッパーの物件には、施工の質が悪く、新築のときはいいけど、10年後にはかなりガタがくるようなものもあります。また、施工がよくてもその後の管理が悪くて、スラムのようになってしまう物件もあります。フィリピンでは、ディベロッパーや管理会社ごとの、施工や管理のレベルに差が本当に大きいので、同じ地区で隣に並んで建つ似たような広さの物件で、賃料が倍も違っているということも全然めずらしくありません。
―― ディベロッパー選びが重要なのですね。
飯田 それは非常に重要です。一方で、信頼できるディベロッパーの物件を有望なエリアで選べば、非常に堅いという面もあります。たとえば、フィリピンの夏は東京より暑くて、1年の半分は雨季。そして、都会は交通渋滞が非常に激しい。だから、オフィスワーカーは通勤が楽な職住近接を好みます。マカティなら、オフィス街の近くで、日本円でいうと家賃が5万から8万円くらいの物件は、非常に堅い利回りが取れて、まず外れがないんです。そういう点では、簡単な投資だとも言えます。
「現地を見ずに投資」はトラブルのもとに・・・
―― しかし、不動産投資でトラブルに会う日本人も多いと聞きますが……。
飯田 不動産投資のトラブルに巻き込まれる日本人投資家は、後を絶ちません。たとえば、市場価格よりかなり高値で買わされたり、家賃をかすめ取られたり、架空の売買契約をされたりといったものです。そして悲しいことに、日系の仲介会社が日本人をだましているケースも少なくありません。私たちにもよくそういう事案の相談が持ち込まれます。相手の会社と交渉したり、信頼できる現地の弁護士を紹介したり、時には裁判になったりすることもあります。
トラブル対応は本業ではありませんし、正直しんどい仕事ですが、フィリピン不動産に悪いイメージを持ってもらいたくない、また、日本人とフィリピンとの関係をよくしたいという気持ちから、トラブルにあった投資家の皆様のサポートをしています。
―― どうしてトラブルに巻き込まれるのでしょうか? 避けることはできないのでしょうか?
飯田 トラブルに巻き込まれる投資家の方にお話を聞くと、ほとんどの方が現地を見ずに投資をなさっています。たとえば、「フィリピンでも有数の高級住宅街のX地区からすぐ近くの物件」というようなうたい文句で売られていた物件がありました。
たしかにすぐ近くなのですが、その物件はX地区から川を挟んで対岸にあったのです。そして川には橋が少ないため道路渋滞が非常に激しく、川のこちらと向こうの行き来に大変な時間がかかる。そのため、近くであっても、川の向こう岸の物件は、市場価格も賃料も、X地区の半分くらいしかない。それなのに、X地区の近くということで、市場価格よりずっと高い価格がつけられている物件を買ってしまう日本人が、数多く出てしまったのです。
そういうことは現地に行かないとなかなか気づきにくいので、簡単にだまされてしまうわけです。トラブルを避けるためには、やはり現地に行って、自分の目で確かめてみるべきだと思います。
―― 最後に、12月に開催予定のストリートチルドレン支援イベント"Bright Light For A Better Life"について教えてください。
飯田 先日、スタッフみんなでボランティア活動に行きました。スモーキーマウンテン(ゴミ山)のひどいエリアで、子どもたちは鉛筆やノートも買えなくて学校に行けないという話を聞いていたので、暗い顔をした子どもたちが不幸に暮らしているんだろうな、というイメージを勝手に持っていました。
ところが、実際に子どもたちに会ってみると、みんな目がキラキラと輝いていて、すごく元気で明るい。彼らからすればわけのわからない外国人であるはずの私たちを、笑顔で大歓迎して喜んでくれたんです。それに触れて、こんな子どもたちが学校にも行けないというのはすごく悲しいことだし、また、この子たちが学校で勉強をして、将来国を支えていったら、この国はすごく発展するはずだとも思いました。
そのときは、600人くらいの子どもに文具セットを寄付しましたが、もっと多くの人に参加してもらい、1人でも多くの子どもたちに必要なものを届けたいですね。現地で子どもたちと触れ合うことで、感じるものが絶対にあると思いますので、ぜひ1回でも見に来ていただければ嬉しいです。