「人生100年時代」が目の前に迫る今、老後の自由な暮らしと安心の医療・介護が両立する「サービス付高齢者向け住宅(サ高住)」への関心が高まっている。本企画では、千葉県北西部で地域に密着した高齢者住宅事業を展開する太陽ハウス(本社・松戸市)株式会社の代表取締役社長・岩橋淑行氏と同社住宅開発部の課長・福永俊介氏に、投資対象としてのサ高住の魅力や、同社が提供する物件の強みなどを伺っていく。第5回目は、前回に引き続き、「サ高住」で安定経営を実現するための基本戦略について解説する。

二人以上の宿泊を想定して「床面積25㎡以上」を確保

前回に引き続き、サービス付高齢者向け住宅(サ高住)で安定経営を実現するための基本戦略について解説しよう。

 

 

太陽ハウス株式会社 住宅開発部課長 福永俊介 氏
太陽ハウス株式会社
住宅開発部課長 福永俊介 氏

サ高住は、高齢者向けに安否確認や生活相談などのサービスが付いた賃貸住宅である。これが一般の賃貸住宅と大きく異なる点だが、基本は“住まい”であることに変わりはない。

 

したがって、入居希望者がサ高住を選ぶ際には、サービスの質だけでなく、住み心地のよさや立地の利便性なども重要なポイントとなってくる。とくに床面積の広さは大切な要素だ。

 

「サ高住には、単身だけでなく、ご夫婦の高齢者が入居されるケースも少なくありません。また、訪問したご家族が宿泊されることもあります。そうした点を考えると、少なくとも2人以上が寝られる広さを確保しておくことが、入居者に選ばれるための絶対条件であると言えます」(福永氏)

 

前回も紹介したように、太陽ハウスのサ高住は木造2階建てで床面積1,000㎡未満、22戸の住戸とデイケアサービスセンターの設置を標準プランとしている。かなり限られた広さではあるが、それでも住戸1戸当たりの床面積は25㎡以上と、ゆったりとした居室空間を実現している。この広さなら2人以上でも十分に寝られるはずだ。

 

駅近でも工夫次第で土地の取得価格を抑えることは可能

一般的なサ高住は、1戸当たりの床面積が18㎡以上というものが多い。法令では原則25㎡以上とされているが、「共用の居間、食堂、キッチンその他が十分な面積を有する場合は、18㎡以上でも登録が認められるからです」と福永氏は説明する。

 

収益力を高めるためには、1戸当たりの床面積をなるべく狭くしたほうがいいというのが不動産投資のセオリーである。限られた敷地でもより多くの戸数を設定できるからだ。戸数が増えれば当然、家賃収入も多くなる。しかし、これはあくまでも投資家目線だけの考え方だ。狭い住戸は住みにくいので、入居希望者からはどうしても敬遠されてしまう。結果として入居付けが困難となり、空室リスクにもさらされやすくなるのだ。

 

専用のキッチン、バスを各住戸に配置することも基本である。
専用のキッチン、バスを各住戸に配置することも基本である。

「床面積が18㎡以上だとあまりにも狭すぎて、住戸内にキッチンやバスを配置できません。そのため、法令では共用の台所や食堂を設けることを義務付けているのですが、入居希望者の中には自室で料理をしたいという方も多く、そうした方々には台所のない住戸は敬遠されがちです。他社さんのサ高住では、食堂や台所だけでなく、風呂も共用の大浴場にしているところがありますが、当社はすべての住戸にキッチンとバスを備えています」(福永氏)

 

立地については、やはり外出や買い物に便利で、生活しやすい駅近が好まれるようだ。もっとも駅近は土地の価格が高いので、どうしても物件の収益力が下がりやすい。太陽ハウスでは、多少駅から離れていても、近くにコンビニエンスストアなどがあって、普段の生活には困らないような場所を提案することが多いという。

 

「駅近でも、旗竿地のような変形地を選べば、土地の取得価格を安く抑えることは可能です。当社は千葉県北西部で地域に密着した不動産事業を行っており、地元の土地に関する情報をタイムリーに入手できます。その強みを活かして、最善の立地をオーナー様にご提案しています」(福永氏)

 

同社が営業展開する千葉県北西部では、常磐線沿線の松戸や柏、総武線沿線の駅などがサ高住の投資家に人気の高いエリアだという。

 

 

取材・文/渡辺賢一 撮影(人物)/永井浩
※本インタビューは、2018年6月11日に収録したものです。