表面利回り「年7.5%」以上・・・その内訳とは?
前回までは、サービス付高齢者向け住宅(サ高住)の投資対象としての魅力や、太陽ハウスのサ高住事業の特徴について紹介した。今回と次回は、サ高住で安定経営を実現するための基本戦略について解説する。
一般の賃貸住宅経営と同じように、サ高住経営においても初期費用やランニングコストをできるだけ抑え、利回りを高めることが大きなポイントとなる。安定的な収益を確保するため、空室率を抑えることも重要である。
前回紹介したように、サ高住は補助金や税制優遇などが受けられるので、一般の賃貸住宅に比べて初期費用やランニングコストを安く抑えることができる。それに加え、太陽ハウスのサ高住の建物は、建築コストを極力抑えながら収益が最大化できるように設計されている。
「当社のサ高住の標準プランは、木造2階建てで床面積が1,000㎡未満です。RC造などに比べて安上がりにつくれるだけでなく、1,000㎡未満であればスプリンクラーが「簡易型」で認可を受けられる等、建築コストを大幅に抑えることができます」(福永氏)
同社が木造にこだわるのは、入居者の生活に配慮しているからでもある。
「木の床材は柔らかいので入居者様が転んでもケガをしにくいですし、何より温かみがあります。もちろん法令に沿って全面バリアフリーを施し、2階に移動しやすいようにエレベーターも設置します」(岩橋氏)
1,000㎡以下の床面積でも、安定収益を得るのに十分な戸数が確保できるという。同社の標準プランでは、22戸の住戸のほかに、床面積の約4分の1の広さのデイサービスセンターを設置する。介護事業者にはデイサービスセンターを運営してもらいながら、入居者に対して安否確認、生活相談などのサービスを24時間提供してもらう仕組みである。
オーナーは22戸の入居者からの家賃のほか、デイサービスセンターのスペースを賃貸する介護事業者からもテナント料を受け取ることができる。同社はこれを「テナント方式」(共同事業型)と呼んでいる。
「立地によっても異なりますが、住戸1戸当たりの家賃は月6万円前後、デイサービスセンターのテナント料は月30万~40万円です。合わせて月々約160万~170万円、年間では約1,900万~2,000万円の家賃収入が得られる計算です」(福永氏)
同社の標準プランの建築費用は約2億円なので、すでに土地を持っているオーナーがサ高住を建てた場合、表面利回りは年10%前後となる。土地と建物を取得した場合でも、年7.5%以上の表面利回りが実現可能だという。
サブリース方式ではなく「テナント方式」とする理由
通常、サ高住の賃貸契約は、介護事業者がオーナーから建物のすべてを借り上げ、住戸部分を入居者に転貸する「サブリース方式」(建物一括賃貸方式)が一般的だ。サブリースの場合、たとえ住戸に空きが出ても満室と同じ家賃収入が保証される契約形態が多いが、その代わり、オーナーは事業者に2割程度の手数料を支払わなければならない。結果的に表面利回りは2割ほど低くなってしまう。
その点、太陽ハウスの「テナント方式」は、住戸の家賃を入居者から直接受け取るので表面利回りが高くなる。もちろん、「サブリース方式」のような満室保証はなくなるが、「サ高住の場合、一般の賃貸住宅に比べると空室リスクは非常に低いので、あえてサブリースを設定するメリットが少ないと思われます」と福永氏は語る。なぜなら、“終の棲家(ついのすみか)”として選ばれるサ高住では、入居者のほとんどが長く住み続けるからだ。
第2回でも説明したように、サ高住は入居者を確保するのが大変だが、いったん入居してもらえれば、安定的な家賃収入が期待できるのである。しかも太陽ハウスは、介護資格を持つ人材などによる専門チームを設けて積極的に入居促進を行っているので、オープンからさほど時間を要することなく安定的な経営を実現することが可能だ。「オーナー様に少しでも多くの収益を確保していただくために、あえて『テナント方式』を採用させていただいています」(福永氏)
ちなみに、「テナント方式」は介護事業者にとっても経営上のメリットが大きいという。「建物の4分の1だけをデイサービスセンターとして賃貸するので、賃料コストは安上がりになりますし、入居者様だけでなく、外部からの通所者も受け入れれば収入も増やせます。また22戸という戸数は、夜間の見守りが1人で対応可能な規模です。人材不足に悩んでいる事業者でもやりくりしやすいので、長くサービスを提供し続けてもらえるはずです」(福永氏)