都心部を中心に土地価格が高騰し、やや過熱気味ともいえる不動産投資市場。新たな物件選びにあたっては「価格が高すぎる」「利回りが確保できない」と悩んでいる方も多いだろう。本連載では、株式会社Coeur代表取締役の大坂真氏が、年9%以上の高利回りが見込める東京郊外などの新築一棟物件を取得し、適切な家賃設定で満室を維持しながら、最終的にキャッシュを大きく膨らませる最新の不動産投資術を紹介する。最終回は、「郊外木造一棟」投資の出口戦略について伺った。

「3年での売却」が選択肢として浮かび上がる理由

ここまで「郊外の木造一棟ワンルームマンション」の魅力について、さまざまな角度から検証してきました。繰り返しになりますが、最大の魅力は何と言っても年9%以上の表面利回りが期待できること。そして、入居付けのための工夫や、低めの家賃設定によって満室を維持しやすいことです。これらの魅力によって、物件の保有期間中は潤沢なキャッシュフローを得ることが可能です。

 

また、物件価格に占める建物の割合が高いという、郊外ならではのメリットを生かして、都心の物件よりも多額の消費税還付を得ることができるのも注目点です。数百万円単位のキャッシュが一度に手に入れば、資産形成に弾みがつくことでしょう。

 

このほかにも、建物の完成時期を入居需要が最も高まる11~12月ごろにして家賃を引き上げ、利回りをさらに高める。借り入れの返済開始までに据置期間を設けるといったように、あの手この手でキャッシュを増やしていきます。

 

そして、取得から3年後をめどに売却し、積み上げたキャッシュと売却益の合算によって資産10倍を実現させるというのが、わたしたちが提案する「郊外の木造一棟ワンルームマンション」の出口戦略です。

 

実際に当社がシミュレーションしてみたところ、2億円の「郊外の木造一棟ワンルームマンション」を3年間保有して売却した場合、売却益を含むトータルのキャッシュから頭金(2,000万円)、取得時経費(物件価格)を引いた純利益は8,086万円になることがわかりました。これは需要の高い時期に家賃を引き上げ、表面利回りを年9%から10%に高めた場合の金額です。さらに消費税還付の数百万円などを加えると、1億円近い金額になります。

 

最も高い家賃が取れる新築から3年間だけ所有し、修繕などのコストが発生前に売却するのですから、運用によるキャッシュフローも最大化できます。これらの合わせ技によって「3年で10倍」を実現するのです。

利回りが高く、収益が安定しているからこそ「売れる」

これほど利回りが高いのなら、売却はせず、長期保有して安定的なインカムゲインを得る“従来型”の不動産投資でもいいのではないかと考える方もいらっしゃると思います。

 

しかし郊外の場合、将来、大学や工場が移転して単身世帯数が急激に減ったり、都市計画の見直しによって入居需要が突然なくなったりするリスクも皆無ではありません。3年後、5年後ならともかく、10年先、20年先となると、市場の変化は予想しにくいものです。

 

また、木造の物件は経年によって老朽化が進みやすく、RC造などに比べると収益力もどんどん下がっていきます。そう考えると、新築で購入し、3年間で十分なキャッシュを得てから売却するという戦略のほうが合理的だと言えるのです。

 

 

取材・文/渡辺 賢一 撮影(人物)/佐山 順丸
※本インタビューは、2018年5月16日に収録したものです。