都心部を中心に土地価格が高騰し、やや過熱気味ともいえる不動産投資市場。新たな物件選びにあたっては「価格が高すぎる」「利回りが確保できない」と悩んでいる方も多いだろう。本連載では、株式会社Coeur代表取締役の大坂真氏が、年9%以上の高利回りが見込める東京郊外などの新築一棟物件を取得し、適切な家賃設定で満室を維持しながら、最終的にキャッシュを大きく膨らませる最新の不動産投資術を紹介する。第4回目は、郊外・木造物件の購入で享受できる「税制上のメリット」を伺った。

建物の割合が高いほど増える「消費税還付額」

「郊外」「木造」の物件をお勧めするのは、「都心」「RC造」に比べて税制上のメリットも多いからです。

 

地価が安ければ、その分、固定資産税や都市計画税などの納税額も減らせます。東京郊外なら、都心の4分の1ほどの坪単価で土地を仕入れられるので、かなり大きな節税効果が期待できます。建物にかかる税金も、RC造よりは木造のほうが低めです。

 

賃貸経営においては、借り入れの返済額や諸費用、税金などをいかに抑えて、家賃収入をいくら手元に残すかが重要なポイントです。納める税金が減れば、手元に残るネットインカムは大きくなります。土地や建物を安く仕入れるほど、その効果はさらに高まります。

 

また、郊外の物件であれば、都心の物件よりもかなり大きな消費税還付が受けられます。なぜなら、郊外の物件は価格に占める建物の割合が高いからです。

 

不動産のうち、取得時に消費税が掛かるのは建物のみです。土地には一切消費税が掛かりません。ですから、土地と建物を合わせた価格が同じでも、建物の割合が高くなれば消費税額は多くなります。

 

しかも消費税は、受け取った額よりも支払った額のほうが多ければ、申告することで差額の還付を受けられます。事業主以外の方が建物を取得した場合、事業によって受け取った消費税はほぼゼロに等しいはずなので、建物にかかった消費税のほとんどが還付されます。

 

一棟ワンルームマンションの建設費用は、木造でも1億~2億円前後はしますから、消費税額も決して小さくはありません。還付を受けると一度に数百万円ものキャッシュが戻ってくるのが一般的です。

 

わたしたちが提案する「郊外の木造一棟ワンルームマンション」投資は、売却益だけでなく、売却するまでに「どれだけキャッシュを生み出すか?」という点を重視しています。消費税還付だけで数百万円単位のキャッシュが生み出されるというのは、郊外物件ならではの魅力のひとつだと言えるでしょう。

都内と郊外では還付額に数百万円の差が!

では、郊外の物件と都内の物件では、還付される消費税額にどれほどの違いがあるのでしょうか? 私自身がお客様を通じて体験した例を紹介します。

 

東京都23区と埼玉県で、それぞれ物件価格は約2億円でした。

 

取得金額はほとんど同じでしたが、地価が高い東京23区の物件は、価格に占める土地と建物の割合がほぼ半分ずつでした。つまり、土地も建物も約1億円です。これに対し、地価が安い埼玉県の物件は、価格に占める土地の割合が約2割、建物の割合が約8割でした。土地の価格は約4,000万円、建物の価格は約1億6,000万円です。

 

それぞれの建物の消費税額は、東京23区が約740万円(約1億円÷1.08×8%)、埼玉県が約1,185万円(約1億6,000万円÷1.08×8%)ですから、じつに約445万円もの開きが出ました。消費税還付額の差だけを見ても、郊外の物件のほうがいかにキャッシュを生み出す力を持っているかがおわかりいただけると思います。

 

もちろん、土地の価格が安い分、埼玉県のほうが固定資産税や都市計画税を抑えられますし、同じ取得価格でも建物の割合が高いので、減価償却の額も大きくなります。あらゆる点で、郊外の物件のほうが節税メリットは大きいと言えるわけです。

 

 

取材・文/渡辺 賢一 撮影(人物)/佐山 順丸
※本インタビューは、2018年5月16日に収録したものです。