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「どうせ俺が相続する金だ」…居座る息子に突きつけた父の決断
「もうすぐ50代になる息子に、いつまでもお金を渡し続けるわけにはいかない――そう思って決断したんです」
茂さんは、ついに大輔さんへの現金の支給を打ち切りました。すると、大輔さんは反省するどころか、平然と言い放ったといいます。
「親の金で暮らして何が悪い。どうせ将来は俺が相続する財産だ。遺産の前払いだと思えば同じだろう」
自分が築いた財産を、当然のように将来の相続財産として当てにする息子。その態度に、茂さんの堪忍袋の緒が切れました。
「お前には1円もやるもんか! 俺の金は、お前が自堕落に浪費するためにあるわけではないんだ!」
茂さんは弁護士に相談し、今後の財産管理や相続について具体的に検討することにしました。
そもそも、成人した子どもに対して、親はどこまで扶養する義務があるのでしょうか。民法第877条第1項では、直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養する義務があると定められています。ただし、扶養義務があるからといって、親が子どもの要求する金額を無条件に支払わなければならないわけではありません。扶養の必要性や、扶養する側の経済状況などを踏まえて、具体的な扶養の程度が判断されます。
未成熟の子どもに対する扶養とは異なり、成人して就労能力がある子どもについては、親自身の生活を犠牲にしてまで経済的な要求に応じることが当然に求められるわけではないのです。
専門家に相談した茂さんは、まず遺留分(兄弟姉妹を除く法定相続人に法律上保障された最低限の遺産を受け取る権利)について確認したうえで、公正証書遺言の作成を進めることにしました。さらに同居を続けることにも限界を感じていたため、大輔さんに退去を求める話し合いをスタートしたといいます。
「情に流されて甘やかした自分にも落ち度はあります。しかし、もう息子のために自分の老後を犠牲にするつもりはありません」
内閣府『令和6年度 高齢社会対策総合調査』によると、子と同居する高齢者の49.8%が「子や孫の生活費を負担している」と回答。さらに、高齢者の61.2%が預貯金を取り崩して暮らしており、その平均額は毎月6.8万円に上ります。
老後資金が子の援助で枯渇するリスクがある一方、同調査では「遺族等へ財産を残したい」と考える人が35.9%存在します。親自身の生活を守りつつ納得のいく資産継承を行うためには、曖昧な扶養関係を見直し、遺言の活用など法的な手段も含めた早めの備えが不可欠です。