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「利益が出ていると思っていた」妻が信じ込んだSNS投資の落とし穴
由美子さんが最初に振り込んだ金額は50万円でした。案内された専用アプリには、投資した資金が増えていく様子が表示されていました。運営側からも「順調に利益が出ています」「今なら追加投資でさらに利益を狙えます」といったメッセージが届きます。
最初は半信半疑だったものの、画面上の残高が増えていくのを見て、由美子さんは次第に相手を信用するようになりました。
その後、「特別な投資枠がある」と勧められ、200万円、100万円と追加で送金。さらに、利益を引き出そうとしたところ、「出金には税金や保証金の支払いが必要」と説明されました。由美子さんは、すでに大きな利益が出ていると信じていたため、出金するためなら仕方がないと考え、追加の送金にも応じてしまいました。
しかし、何度か振り込んでも出金はできません。相手に問い合わせても明確な説明はなく、やがて連絡が取れなくなりました。結果として、由美子さんが振り込んだ金額は約500万円。退職金のうち約1,500万円は残っていたものの、老後資金の一部を失うことになったのです。
警察庁によると、2025年のSNS型投資詐欺の認知件数は9,523件、被害総額は1,288億円に達し、深刻な社会問題となっています。
「まさか自分がこんな話に引っかかるとは思わなかった。最初は本当に少額のつもりだったんです。画面では利益が出ていたし、今振り返ると、もっと早くおかしいと気づくべきでした」
由美子さんはそう振り返ります。一方、哲也さんは退職金の管理についても考え直したといいます。
「これまでは家計のことを妻に任せきりでした。でも、老後のお金は夫婦2人の生活を支えるものですから、私もきちんと把握しておく必要があると思いました」
金融経済教育推進機構『家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯)』によると、お金に関する相談を「したことがない」人は64.6%。また、「老後の資金計画を立てていない」という人も59.9%にのぼります。老後資金を守るためには、家計を一人に任せきりにせず、夫婦で資産状況やリスクを日常的に共有し、独断で判断しないことが大切です。