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定年後の収入まで見通せない会社員の不安
佐藤さんを悩ませているのは、退職金だけではありません。
60歳以降は再雇用制度を利用して働き続けるつもりですが、会社から示されている給与水準は現役時代の半分程度です。
「退職金は減る、給料も下がる。それでも住宅ローンや生活費は待ってくれません。60歳になったら、今よりずっと厳しい生活になるんじゃないかと思います」
佐藤さんの妻はパート勤務で、夫婦の収入を合わせて家計を維持しています。次男の大学進学を控え、これから数年間は教育費の負担も重くなります。退職金を老後資金として残す余裕がなくなれば、再雇用後の収入から生活費を捻出しなければなりません。
「今から転職したところで、55歳の私に今と同じ給料を払ってくれる会社があるとは思えません。結局、定年までここで働くしかない。でも、会社を信頼して働き続けられるかといえば、正直、難しいですね」
定年まで勤め上げれば、退職金と年金で老後の生活を支えられる――かつては、そうした見通しを立てる会社員も少なくありませんでした。しかし、退職金制度は企業ごとに異なり、勤続年数や役職、評価、給与など、算定方法もさまざまです。制度の変更があれば、将来受け取る金額も変わる可能性があります。
「もっと早く確認しておけばよかった」――そう佐藤さんは振り返ります。
厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業割合は74.9%。同調査における「大学・大学院卒(管理・事務・技術職)」の定年退職者(勤続20年以上かつ45歳以上)の1人平均退職給付額は1,896万円(勤続35年以上では2,037万円)です。
多くの企業で従来型の勤続年数重視の仕組みから、役職や成果に応じたポイント制などへの見直しが進んでおり、受け取り見込額が想定と大きく異なるケースは珍しくありません。定年直前で慌てないためにも、早いうちから自社の退職金規程や算定方法の改定状況を確認し、現実的なマネープランを検討しておくことが大切です。