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「土曜の朝くらい寝かせてくれ…」母からの電話で知った想定外の負担増
「土曜の朝くらい寝かせてくれ……」
大手企業で管理職を務める佐藤誠さん(54歳・仮名)は、休日の朝、スマートフォンの着信音で目を覚ましました。電話の相手は、介護施設で暮らす母の和子さん(81歳・仮名)です。
「施設から請求書が届いたんだけど、今までよりずいぶん高くなっているの。何か変わったのかしら」
寝起きの誠さんは、すぐには答えられませんでした。母の施設費用を気にかけてはいたものの、毎月の請求額を細かく確認していたわけではなかったからです。
誠さんの年収は1,150万円。仕事は忙しく、母の生活費や介護費用について考える時間は限られています。それでも、母の年金だけで施設費用を賄えるのかは、以前から気がかりでした。
前年の12月、誠さんは年末調整で母を扶養親族として申告していました。きっかけは、同僚から聞いた話です。
「別居している親でも、生活費を援助していて条件を満たせば、扶養控除を受けられる」
税金の負担が軽くなれば、その分を母の生活費に回せる。そう考えた誠さんは、母の収入などを確認し、扶養控除の手続きを進めました。ところが、半年余りたって届いた施設の請求書は、予想していなかった金額になっていたのです。
電話を切った後、誠さんは請求書を見直しました。確かに、前月までと比べて負担額が増えています。母に特別なサービスが追加されたのか、それとも介護保険の負担割合が変わったのか。考えられる理由はいくつかありましたが、心当たりはありません。
翌週、仕事の合間に施設へ問い合わせ、自治体の窓口にも確認しました。そこで分かったのは、母が利用していた介護サービスの利用者負担軽減制度が、更新時に適用されなくなっていたことでした。誠さんが母を税法上の扶養親族として申告したことが、その制度の適用条件に影響していたのです。
母が利用していたのは、一定の収入・資産要件などを満たす人を対象に、介護サービスの自己負担額や食費、居住費などを軽減する制度でした。制度や自治体によっては、家族が本人の扶養控除を受けていないことなども要件に含まれます。
今回、施設費用は月1万8,000円増えていました。年間にすると21万6,000円です。一方、母を扶養に入れたことによる所得税・住民税の軽減額は、誠さんの年収などから試算すると年間約15万円。節税できた金額よりも施設費用の増額のほうが大きく、差し引きで年間約6万6,000円の負担増となっていました。
「税金が安くなれば、その分、母のために使えると思ったのに……」
母の負担を少しでも減らそうとした手続きが、家計全体で見ると逆の結果につながっていたのです。