(※写真はイメージです/PIXTA)
孫差別が露骨な祖母
「なぜこんな失礼なことを言ってくるのか、いまだに理解ができません」
そう憤るのは、地方都市で一人暮らしをする京子さん(71歳)。夫に先立たれたあとは、月約17万円の公的年金を受給しながら暮らしています。京子さんには、長男夫婦のあいだに生まれた孫の陽菜さん(18歳)と、陸さん(16歳)がいます。
京子さん自身、古い価値観の残る地域で育ったこともあり、無意識のうちに「家の跡継ぎである男の子」を特別視する傾向がありました。幼いころから二人が遊びに来た際、お菓子を選ぶ順番は必ず陸さんが先。陸さんが「ジュース買いたいからお小遣いちょうだい」と言えば快くお金を渡す一方で、陽菜さんが同じようにおねだりをしても「おばあちゃん、いまお金持ってないの」と素っ気なくあしらっていました。
差別は金銭面や行事でも顕著でした。陸さんの誕生日や入学式には数万円のご祝儀や高級なプレゼントを用意していたにもかかわらず、陽菜さんの節目には「年金暮らしで余裕がないから」と一度もお祝いを渡したことがありません。さらに、母親(京子さんにとって長男の嫁)の悪口を陽菜さんの前で日常的にこぼすことも多く、生前の夫から「子どもの前で母親の悪口を言うもんじゃない」と注意されたこともあります。
決定的な破綻が訪れたのは、陽菜さんが18歳の成人の節目を迎えたときのこと。
京子さんは「成人のお祝いだから」と久しぶりに長男家族へ連絡を取り、実家に呼び出しました。しかし、用意されていたのはお祝いの品でも祝儀袋でもなく、近所のスーパーで買い揃えた出来合いの惣菜と、京子さん自身の昔話や嫁への不満を延々と聞かせる時間でした。
それどころか、同席していた陸さんが「今日友達と遊びに行くからお小遣いちょうだい」と言うと、京子さんは財布から1万円札を取り出して渡します。陽菜さんには「女の子はこれから振袖を着せてもらえるんだから十分でしょ」と言ったのです。
その場ではなにも言わずに静かに立ち去った陽菜さんでしたが、その日の夜、京子さんのスマートフォンに一通のLINEが届きました。
《もう成人したので、自分の意思で決めて行動します。おばあちゃんとはもう会いません。おばあちゃんが病気になっても悲しいって思わない。おばあちゃんが死んじゃうことがあっても泣けない》
LINEを読んだ京子さんは、怒りに震えました。
「あんな生意気なことを言って私を拒絶するなんて、一体どういう育て方をされたのかしら。あの子の母親の入れ知恵に決まっています!」
その後、長男の家から京子さんのもとへ寄り付くのは、お小遣い目当てでたまに顔を出す陸さんと、たまに様子を見に立ち寄る息子だけになりました。長男の嫁と陽菜さんは、正月の集まりや親族の法事すら一切顔を出さなくなり、完全に姿を消しました。
「あんな恩知らずな孫、こっちから願い下げよ。私には陸がいるからいいわ」と強がってみせる京子さんですが、スマートフォンの画面に残る冷徹なLINEの文面を見るたび、言いようのない苛立ちが込み上げます。なぜ自分がここまで拒絶されなければならないのかを理解できないまま、京子さんは嫁と孫娘への怒りを吐き出し続けています。