住宅価格の高騰を背景に、共働き夫婦がそれぞれ住宅ローンを組む「ペアローン」が注目されています。夫婦の収入を活用すれば、より高額な住宅を購入でき、住宅ローン控除などのメリットもあります。しかし、注意すべきなのは借り過ぎだけではありません。離婚や相続などをきっかけに、自宅の共有持分が第三者に渡る可能性もあります。実際の20代夫婦の住宅購入相談をもとに、現役大家CFPの竹下昌成氏がペアローンのメリットと見落としがちなリスクを解説します。
夫婦で購入した家を、どちらかが「自分の持ち分だけ売却」したら…?借りすぎのリスクだけではない〈ペアローン〉の意外な落とし穴【現役大家CFPが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「ペアローンはどうですか?」20代共働き夫婦からの質問

2023年11月、20代の共働き夫婦からマンション購入の相談を受けました。希望は東京都内の中古マンション。夫婦の通勤に便利で、住環境が良く、将来の資産価値も期待できる物件です。当初の予算は3,000万円前後でしたが、希望する条件を満たす物件は簡単には見つかりません。


予算について検討するなかで、ペアローンについても質問がありました。ペアローンとは、夫婦がそれぞれ住宅ローンを契約して、同じ住宅を購入する仕組みです。例えば、夫が2,000万円、妻が2,000万円を借りれば、合計4,000万円の住宅ローンになります。一般的には互いが連帯保証人となり、住宅の所有権も夫婦の共有名義になります。


ペアローンのメリットは、夫婦の収入を活用することで借入可能額を増やせることです。一定の要件を満たせば、夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用でき、団体信用生命保険(団信)にも加入できます。


しかし、私は今回の夫婦に対して、主な家計負担者を中心に予算を考えることを勧めました。


最終的には、夫婦の収入を合算して借入額を増やすのではなく、一人でも組める住宅ローンの金額を上限に、築40年ほどの3LDKマンションを4,200万円で購入しました。

借入額を増やせる一方で、見落としがちなリスクも

ペアローンで最初に注意したいのは、借り過ぎです。


金融機関が貸してくれる金額と、無理なく返済できる金額は違います。夫婦二人の収入を前提に住宅ローンを組んでも、その収入が長期間続くとは限りません。妊娠、出産、育児休業、転職、病気、介護などによって、一方の収入が減る可能性があります。


また、住宅ローン控除は税金から差し引く制度です。収入が減って税負担が小さくなれば、控除を十分に活用できない場合があります。

 

団信にも注意が必要です。通常のペアローンでは、夫が死亡した場合、夫のローンは団信で完済されますが、妻のローンは残ります。逆の場合も同じです。最近は、夫婦のどちらかに万一のことがあった場合に、双方のローンを保障する商品もありますが、保障内容や金利負担の確認が必要です。


こうしたリスクは、生命保険を活用するなど、事前に対策を考えることができます。しかし、私がペアローンで特に注意したいのは、別の問題です。