高齢の親を支えたいと思っていても、仕事や自分の家庭との両立に悩む子どもは少なくありません。親にとっては何気ない頼み事でも、積み重なれば子どもの負担になることがあります。一方、親も年齢を重ねるにつれて、身近な家族を頼りたい場面が増えていくものです。親子双方の思いがすれ違い、関係が悪化するのを防ぐには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「しばらく連絡してこないで!」〈年金月14万円・74歳母〉の元に週1で通った48歳娘、ついに送った「拒絶のLINE」 ※写真はイメージです/PIXTA

「しばらく連絡しないでください」娘がLINEを送った日

ある日、智子さんは母の通院に付き添うことになりました。仕事や家庭の用事を調整して母のもとへ向かいましたが、到着が予定より遅れてしまいます。

 

すると、母から不満をぶつけられました。

 

「遅れるなら、もっと早く連絡してくれればいいのに。こっちは一人で不安だったんだから」

 

母が不安だったことは、智子さんにもわかります。ただ、自分も予定をやりくりして駆けつけたのに、遅れたことを責められる――これまで積み重なってきた疲れもあり、その言葉を受け止める余裕はありませんでした。

 

母の要求に応え続けることは、もう難しい。そう感じた智子さんは、母にLINEを送りました。

 

「今のままでは私も限界です。しばらく連絡しないでください」

 

送信したあと、「とうとう言いたいことが言えた」という清々しさとともに、「とうとう言ってしまった」と後悔する気持ちでぐちゃぐちゃになったといいます。それでも母との関係を見直すための決断でした。

 

あれから母から何度も連絡があるものの、智子さんは返信していません。まだ冷静に話せる自信がないからだといいます。これから先、もっとサポートが必要になるでしょう。だからこそ、何ができて、何ができないのかを伝えることが必要だと考えています。

 

内閣府『令和7年度 高齢社会対策総合調査』によると、日本の高齢者が望む子どもや孫とのつきあい方は「ときどき会って食事や会話をするのがよい」が59.6%で最多。一方、別居する子どもとの接触頻度は「月に1~2回」が24.4%と最も高く、週1回以上の連絡や面会は21.6%にとどまります。

 

一方で、日常の困りごとで頼る相手は「別居の家族・親族」が61.2%と最も高く、支援が特定の家族に集中しやすい実態がうかがえます。子ども側の生活や負担にも配慮し、外部サービス等も柔軟に活用しながら、互いに「適切な距離感」を模索することが重要です。