内閣府「令和8年版高齢社会白書」によると、2025年の65~69歳女性の就業率は46.1%。高齢期にも働き続ける女性は珍しくありません。仕事をする理由は、経済的な事情だけではなく、人との交流や生きがいなどさまざまです。妻との穏やかな老後を楽しみにしていた67歳の男性。しかし、パートや友人の仕事で忙しく過ごす妻に不満を募らせ、思いがけない言葉を告げられます。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したものです。
もう自由にさせてください…〈年金月32万円・貯蓄4,500万円〉67歳夫、仕事を楽しむ65歳妻に「もう働くな」…涙ながらに告げられた妻の本音に絶句したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

退職後は妻とゆっくり過ごしたかった67歳男性

神奈川県内で暮らすタカシさん(67歳・仮名)は、妻のカズエさん(65歳・仮名)と2人暮らしです。2人の子どもはすでに独立しています。タカシさんは大手メーカーに長年勤め、65歳で定年退職。その後も再雇用で2年間働き、今年、仕事を完全に引退しました。夫婦の年金収入は月約32万円。金融資産は約4,500万円あり、自宅の住宅ローンも完済しています。生活には比較的余裕があります。

 

「現役時代は仕事が忙しく、妻も働いていたので、夫婦でゆっくり過ごす時間はあまりありませんでした。だから退職したら、2人でいろいろなところへ出かけたいと思っていました」

 

一方、カズエさんも長年、企業の事務職として正社員で働いてきました。60歳で退職したものの、現在は近所の企業で週2〜3日、事務のパートをしているほか、友人が営む編集プロダクションの仕事も手伝っています。原稿の校正や資料作成、イベントの運営補助など、依頼があれば引き受けるという働き方で、パート収入と合わせた年収は約150万円です。

 

「妻は昔から人付き合いが得意なんです。パート先でも頼りにされているみたいで、若い社員から相談されたとか、上司に褒められたとか、楽しそうに話していましたね」

 

タカシさんも再雇用で働いていたころは、妻の働き方を特に気にしていませんでした。ところが、自分が完全に仕事を辞めると、状況が変わりました。

「こちらは毎日休みなのに、妻の予定に合わせなければいけない」

退職後のタカシさんは、朝の散歩や読書などで時間を過ごすようになりました。最初は自由な生活を満喫していましたが、次第に時間を持て余すようになったといいます。一方、カズエさんは相変わらず忙しそうでした。

 

「今日はパートなのかと思ったら、友達の仕事を手伝いに行くと言う。仕事がない日は職場の人とランチに行くこともあります」

 

カズエさんは、以前から興味があった朗読の会にも月2回参加しています。そこでも新しい友人ができ、活動のあとにお茶を飲んで帰ってくることもあるそうです。

 

「妻は毎日楽しそうなんですよ。でも、私は家で一人です。退職前は何とも思わなかったのに、だんだん面白くなくなってきたんです」

 

あるとき、タカシさんは妻を温泉旅行に誘いました。

 

「平日に2泊くらいでどうかと言ったんです。そうしたら『3日潰れるのはキツイな。せめて1泊かな』と言われてしまって」

 

タカシさんは釈然としませんでした。

 

「こっちは毎日休みなのに、妻の予定に合わせなければいけない。生活のために必要な仕事でもないのに、そこまでして働く必要があるのかなと思いました」

 

次第にタカシさんは、妻が出かけるたびに「今日は何時に帰るんだ」「その仕事は断れないのか」と尋ねるようになりました。