子どもが困っていれば、できる限り力になりたい。そう考える親は少なくありません。しかし、親自身も年金生活に入り、医療費や住まいの修繕費など、先々の支出が気になり始める時期です。援助を続けることは、子どもの生活を支える一方で、親の老後資金を減らすことにもつながります。親子の間で、どこまで支え合うべきなのでしょうか。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「もう、親を当てにしないでくれ…」年金月27万円・70代夫婦、50歳息子に告げた「月8万円の援助終了」 ※写真はイメージです/PIXTA

親の援助はいつまで続けるのか…「助けたい」と「自分たちの生活」の間で

博さんが誠さんに援助の終了を伝えると、息子は不満を口にしました。

 

「急に8万円なくなったら、こっちも困るよ」

 

夫婦は、今後も孫の進学や家族の節目を祝うことまでやめるわけではありません。ただし、毎月決まった金額を渡すことは終わりにします。何か特別な事情があった場合も、その都度、夫婦の家計を確認して判断する方針です。

 

援助を終えると伝えてから、誠さんとの関係はぎくしゃくしたままだといいます。

 

「最初に話し合っておけばよかったですね」

 

困っている息子を助けたい。その一心でお金を渡し始めましたが、毎月いくら、いつまで援助するのかを決めていませんでした。結果として徐々に金額が増加し、負担は大きくなっていきました。

 

最初から援助の金額や期限を決めておけば、息子も家計を見直す時間を持てたかもしれません。突然の打ち切りという形にならずに済んだ可能性もあります。

 

内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、子や孫の生活費を負担している高齢者は25.2%にのぼります。一方で、毎月の生活費のために「預貯金を取り崩している」高齢者は61.2%に達し、その平均額は月6万円。また、現在の貯蓄額について「足りない」と感じている人は57.1%を占めています。

子や孫への援助は親心である一方、自らの老後資金を圧迫する要因となります。共倒れを防ぐためにも、援助の金額や期間について初期段階から具体的なルールを決め、親自身の老後生活を守る視点を持つことが重要です。