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妻の収入が増えても、夫の仕事への考え方は変わらず
美穂さんの昇進から半年ほどたったころ、大輔さんは自分の仕事について考えるようになりました。
「私だって、もう少し仕事に力を入れたい。でも、家のことを考えると、これ以上は難しいと感じてしまう」
妻の給与は大輔さんのそれを超え、家計には余裕が生まれました。以前より貯蓄に回せるお金も増え、教育費や住宅ローンの返済について、少し先を見通しやすくなったといいます。それでも、大輔さんの気持ちは単純ではありませんでした。
収入が増えたのは妻です。家計全体で考えれば喜ばしい変化ですが、自分自身の仕事の評価や収入が上がったわけではありません。むしろ、家事や育児のために仕事を調整する機会が増えれば、今後の昇進に影響するのではないかという不安もありました。
一方、美穂さんにも悩みがありました。
「私が仕事を頑張ることで、夫に負担がかかっているのはわかっています。でも、せっかく任された仕事ですし、期待にも応えたいんです」
厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査』によると、一般労働者の所定内給与額は男性が月額37万3,400円、女性が28万5,900円。男性を100とした場合の女性の水準は76.6です。これは労働者全体の平均であり、同じ仕事や役職に就く男女の賃金を直接比較した数字ではありませんが、男女間の賃金格差が依然として存在することを示しています。
妻が昇進したからといって、夫が仕事を控える必要があるわけではありません。反対に、夫の収入が高いからといって、妻が家庭を優先すべきだともいえないでしょう。夫婦それぞれの仕事をどう尊重し、家庭の責任をどう分け合うかが問われます。