総務省「令和3年社会生活基本調査」によると、6歳未満の子どもがいる夫婦と子どもの世帯では、妻の家事関連時間は夫の約4倍にのぼります。家事や育児には、実際の作業だけでなく、予定の調整や準備など、外からは見えにくい負担もあります。年収900万円の夫と暮らす33歳のミホさんも、そんな負担を一手に引き受けてきた一人。家族を喜ばせようとする夫の「サプライズ」に振り回され、ある出来事をきっかけに離婚まで考えるようになりました。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したものです。
もう限界!〈年収900万円〉サプライズ好きの36歳夫に33歳妻が激怒…「あのプロポーズを受けなければ」と後悔したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

誰からも好かれる営業マンの夫

東京都内で暮らすミホさん(33歳・仮名)は、夫のショウヘイさん(36歳・仮名)と1歳の長女の3人家族です。結婚4年目で、現在は都内の分譲マンションに暮らしています。ショウヘイさんは大手ベンチャー企業の営業職で、年収は約900万円。一方、ミホさんも会社員として働いており、育休前の年収は約500万円。現在は育児休業中ですが、来春には職場復帰する予定です。

 

「夫はとにかく明るくて、誰とでもすぐに仲良くなれる人です。仕事でもプライベートでも人望が厚くて、友人たちからも慕われています。私自身、夫のそういうところに惹かれたんです」

 

ミホさんはどちらかといえば慎重な性格。落ち込んでいるときにはショウヘイさんの明るさに救われることも多く、一緒にいると楽しかったといいます。ただ、交際中から気になることがありました。それは、ショウヘイさんが極端なほどサプライズ好きだったことです。

ヒールを履いてきたのに、行き先は山

交際して間もないころ、ショウヘイさんから「日曜日は空けておいて。行き先は秘密!」とデートに誘われたことがありました。ミホさんは食事かドライブだろうと思い、ワンピースにヒールのある靴を合わせて出かけました。ところが、車が向かったのは郊外の山でした。

 

「景色のいい場所に連れていきたかったらしいんです。でも、ちょっと歩かないといけない場所で。ヒールだから無理だよって言ったら、『そんなに歩かないから大丈夫!』って。結局、足が痛くなってしまいました」

 

ショウヘイさんは「次はスニーカーで来ればいいね」と笑っていたそうです。

 

「悪気がないのはわかるんです。でも、せめて歩きやすい靴で来てって言ってくれればよかったのに。サプライズを成功させることが優先で、私がどういう服装で来るかまでは考えていなかったんでしょうね」

 

こうした出来事は一度や二度ではありませんでした。突然友人たちとのバーベキューに連れていかれたり、予定していなかった遠出を提案されたり。そのたびにミホさんは戸惑いましたが、周囲が楽しそうにしていると、水を差すのも気が引けました。

 

そして、プロポーズもサプライズでした。ミホさんの誕生日、ショウヘイさんはレストランに共通の友人たちを集め、大勢の前で婚約指輪を差し出したのです。

 

「みんなが拍手して、『おめでとう!』って盛り上がっているんです。もちろん夫のことは好きでしたし、結婚も考えていました。でも、あの場で断るなんてできませんよね」

 

ミホさんはその場で承諾しました。

 

「今思えば、あのときの自分を殴りたいです。『ちょっと待って、本当にこの人でいいの?』って。あの違和感をもっと大事にすればよかった」

子どもが生まれても続く、突然のアウトドア

結婚後もショウヘイさんのサプライズ好きは変わりませんでした。特に困るようになったのは、長女が生まれてからです。ある金曜日の夜、ショウヘイさんが突然「明日からキャンプに行こう!」と言い出しました。

 

「キャンプ場は予約したし、道具も全部そろってるから!」

 

ショウヘイさんはアウトドアが好きで、テントや寝袋、調理器具などにこれまで30万円以上を使っていました。今回も新しいキャンプ用品を購入し、準備万端のつもりだったようです。しかし、当時まだ0歳だった長女を連れてのキャンプとなれば、話は別です。

 

「おむつや着替え、離乳食、ミルク、保険証、子どもの防寒着……。持っていくものが山ほどあるんです。しかも、翌日は家でゆっくりするつもりだったから、洗濯もたまっていたし」

 

ミホさんが難色を示すと、ショウヘイさんは「大丈夫だよ、何か足りなかったら現地で買えばいいじゃん」と笑いました。結局、ミホさんは夜遅くまで荷物を用意することになりました。

 

キャンプ当日、ショウヘイさんは友人家族とバーベキューを楽しみ、食材代も気前よく負担。周囲からは「本当にいい旦那さんだね」「こんな企画をしてくれるなんてうらやましい」と褒められていました。一方、ミホさんは長女の世話に追われていました。

 

「夫も子どもをかわいがってはいるんです。でも、友人たちと盛り上がっていると、子どものことは私に任せきり。私が抱っこしてあやしている横で、『うちの奥さん、育児頑張ってくれてるんだよね』なんて言うんです」

 

帰宅後も、キャンプ用品の片付けや大量の洗濯物が待っていました。ショウヘイさんは疲れたと言ってソファで休み、ミホさんが荷物を片付けていても気づかない様子でした。

 

「準備も片付けも全部私。夫は楽しいところだけやって、周りから感謝されるんです。お金を出しているのは夫だから、それで十分だと思っているのかもしれません」

 

その後、ミホさんは何度も「予定は必ず事前に相談してほしい」「子どもを連れて出かけるなら準備も一緒にしてほしい」と伝えました。ショウヘイさんはそのたびに「わかった、次から気をつける」と答えましたが、しばらくするとまた同じことが繰り返されました。