孫に欲しいものをせがまれると、つい買ってあげたくなるものです。しかし、年金生活では自分たちの暮らしも大切にしなければなりません。孫への出費は、単に財布のひもを締めればよいという話でもないでしょう。ある男性と小学2年生の孫のやり取りから、お金との向き合い方を考えます。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「あのおもちゃ、買って!」 …駄々をこねる小2の孫を〈ぴたりと黙らせた〉76歳祖父の一言 ※写真はイメージです/PIXTA

孫のわがままな要求に困った76歳祖父

「おじいちゃん、これ買って!」

 

東京都内に住む小林茂さん(76歳・仮名)は、休日に小学2年生の孫と出かけた玩具売り場で、対応に困ったといいます。孫が見つけたのは、以前から欲しがっていた最新ゲーム機。入荷待ちが続き、店頭で売られているのを見たのは初めてでした。

 

「このゲーム機、ずっと欲しかったんだ。買って!」

 

値札を見ると、数万円します。茂さんは孫の誕生日でもない日に、予定外の買い物をするつもりはありませんでした。

 

「今日は買わないよ」

 

そう伝えると、孫は「なんで? 買ってよ!」と食い下がりました。何度断っても諦めません。やがて目に涙を浮かべ、「どうしても欲しい」と訴え始めました。

 

茂さんは、孫の気持ちもわかります。友達が持っているものを自分も欲しい。子どもにとっては切実な願いなのでしょう。ただ、何でも買ってあげるわけにはいきません。

 

茂さんは妻と2人で暮らしています。現役時代は会社員として働き、現在は月18万円程度の年金を中心に生活費を賄っています。孫に会うときには、お菓子を買ったり、食事をごちそうしたりすることもありますが、日々の家計を考えれば、予定外の出費を重ねるのは避けたいところです。

 

総務省の「家計調査」によると、2025年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、可処分所得が月平均22万1,544円だったのに対し、消費支出は26万3,979円でした。平均では毎月約4万2,000円の赤字です。もちろん、実際の収支は年金額や貯蓄、住居費などによって異なります。それでも、老後の家計では、日々の生活費に加え、医療費や住宅の修繕など、先々の支出も考えておく必要があります。孫へのプレゼントも、無理なく続けられる範囲で考えたいものです。

 

とはいえ、子どもに対して老後の経済事情を説明したところで、納得できるはずがありません。茂さんは、孫自身で買えないか考えてみてはどうかと提案することにしました。

 

「お年玉で買えないかな?」

 

そう言うと、孫は今年のお年玉は総額いくらだったか思い出しながら、「お年玉で買えそうだけど、お母さん、自由に使わせてくれないし」としょんぼりと答えます。

 

「お年玉は貯金しておこうね」と、自由に使えてもごくわずか……子どもたちの間ではよくある話です。