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学費と仕送りを工面し、大手企業の内定へ…肩の荷が下りたはずの58歳父親
Aさんは、地元の中小企業に勤める58歳の会社員です。年収は480万円。パートで働く妻と大学卒業を控えた息子との3人家族です。
息子が高校生のころ、「僕は都内の大学を受験したいと考えています。大学生になったら、一人暮らしをさせてくれませんか」と相談されたときのことを、Aさんはいまでもよく覚えています。学業に専念することはもちろん大切ですが、親元を離れて一人で生活をすることも貴重な社会勉強になるはず――そう考えたAさんは、「青春を謳歌してきなさい」と背中を押し、東京の有名私立大学への進学を快く応援しました。息子は「父さん、本当にありがとう!」と笑顔を見せ、都内での新生活をスタートさせたのです。
年末年始に帰省するたび、息子は大学生活を明るく語ってくれました。順調に単位を取得していることや、所属するサークルで大切な仲間ができたことなど、上京して本当によかったと話す姿に親としての喜びを感じていたAさん。しかし現実問題として、私立大学の授業料と一人暮らしをさせるための仕送りは、決して軽い負担ではありません。妻もパートのシフトを増やし、夫婦二人三脚で懸命に家計をやりくりしてきました。
息子自身も親の苦労を察していたのか、「自分の小遣いくらいは自分で稼ぎます」と、4年間の大学生活を通じて学業とアルバイトを両立させていました。大学3年生になると本格的な就職活動が始まり、「説明会や面接で忙しいから、帰省できない」という連絡が続きます。
そして大学4年生のある日、息子から待望の吉報が届きました。
「父さん、内定をもらったよ!」
内定先が都内の大手企業であると聞いて、Aさんと妻は大喜びしました。その日は夫婦で祝杯をあげ、後日、久しぶりに帰省した息子を囲んで家族3人で改めて祝杯をあげたのです。
「就職の内定もいただいたから、あとは大学の単位をとって卒業するのみ。ちゃんと単位は取得できそうだから安心して」と胸を張る息子。Aさんは妻と「これでやっと肩の荷が下りるね」と深く安堵したものです。
定年を目前に控えた58歳というタイミングで、長男が自立し、長年払い続けてきた住宅ローンの完済も間近に迫っていました。「定年前に大きなライフイベントが無事に終わるから、これからは家計もかなり楽になるね。落ち着いたら国内旅行にでも行こうか」と、今後の暮らしに思いを馳せていました。