家父長制的な名残や特定の性別・出生順を重んじる意識から、悪気なく特定の孫ばかりを優遇し、待遇に差をつけてしまうシニア世代が一定数存在するようです。幼少期から積み重ねられた不平等な扱いや配慮を欠いた言動は、孫との関係を歪なものにしてしまい……。事例を見ていきましょう。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したものです。
「おばあちゃんには二度と会いません」年金月17万円の71歳祖母、18歳になった孫から届いた〈衝撃のLINE〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

家庭内における「孫差別」

厚生労働省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)受給権者のうち女性の平均年金月額は10万9,545円となっています。京子さんの月17万円という受給額は女性平均を約6万円も上回っており、日々の生活を維持したうえで一定の余裕資金を確保できる経済基盤を有していたことがわかります。

 

また、シニア世代が孫へ向ける支出の実態についても、公的な意識調査や金融機関の統計に明確な傾向が表れています。ソニー生命保険が実施した『シニアの生活意識調査(2024年)』によると、全国のシニア層が過去1年間に「孫のために使った金額」の平均は10万9,812円に達しています。支出の内訳としては「お小遣い・お年玉」が最も高く約7割を占め、次いで「一緒に外食」「お祝い金(入学・卒業・成人など)」が上位に挙がっています。

 

このように、多くのシニア層が孫へ金銭的援助をしている実情があるなかで、経済的な余力がありながら「男児には多額の小遣いや祝儀を渡し、女児には一切の祝いを拒む」といった格差を設ける行為は、子どもにとって単なる金額の多寡ではなく、存在意義や尊厳を否定されたという深刻なトラウマとして定着します。

 

さらに、昭和期以前の家父長制的な意識を引きずる高齢世代と、個人の尊厳やジェンダー平等を当然の価値観として教育を受けてきた若い世代との間には、埋めがたい認識の断絶が存在します。親の庇護下にある未成年期には判断いかねていた孫が、大人になり、自らの意思で人間関係を選択できる立場になって関係の清算へ踏み切るのは自然な決断なのかもしれません。

 

身内という甘えから自身の偏見を正当化し、相手への配慮を怠った言動を重ねた場合、たとえ経済的な不安がない老後であっても、親族からの完全な拒絶という孤立を招く危険性を孕んでいます。

 

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