(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもや孫との旅行は、高齢の親にとって楽しみの一つです。誕生日などの節目に家族で出かけ、思い出をつくりたいと考える人もいるでしょう。しかし、宿泊費や交通費が高くなるなか、年金生活ではまとまった出費を負担に感じることもあります。家族間で費用についての認識が食い違い、思わぬひと言に傷ついてしまうケースもあるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「えっ、7万円も?」孫の誕生日旅行で息子から頼まれた費用

72歳の洋子さん(仮名)は、地方都市の持ち家で一人暮らしをしています。

 

夫は6年前に亡くなり、現在は自身の老齢年金と遺族厚生年金を合わせて月約17万円を受給しています。

 

40歳の長男・健太さん(仮名)は、妻と小学3年生の長男、5歳の長女の4人暮らし。洋子さんの自宅から車で約1時間の場所に住んでいます。

 

洋子さんは孫たちの成長を楽しみにしており、誕生日や入学祝いにはプレゼントを贈ってきました。

 

「孫たちが喜んでくれるのがうれしくて。お祝いのときは、つい財布のひもが緩んでしまうんです」

 

そんな洋子さんに、健太さんから連絡があったのは夏の終わりごろでした。

 

「今度、息子の誕生日に合わせて家族旅行を考えてるんだ。母さんも一緒にどう?」

 

行き先は、車で2時間ほどの場所にある温泉地。子ども向けの施設が併設されたホテルに1泊する計画です。

 

孫からも電話で「おばあちゃんも一緒に行こうよ」と誘われ、洋子さんはすっかり楽しみになりました。

 

ところが数日後、健太さんから旅行の費用について相談されます。

 

「ホテル代が思ったより高くてさ。母さん、今回は少し多めに出してもらえないかな」

 

洋子さんは、自分の宿泊費を負担するつもりでいました。しかし健太さんが考えていたのは、それに加えて孫2人の宿泊費も負担してもらうことだったのです。

 

ホテルは大人3人と子ども2人の宿泊で、夕朝食付き合計約13万円。健太さんは洋子さんに、うち7万円ほどを出してほしいと伝えました。

 

「えっ、7万円も?」

 

洋子さんは思わず聞き返しました。

 

「子どもたちの誕生日旅行だし、母さんも一緒に祝ってくれると思ってたんだけど」

 

洋子さんは、以前にも孫の入学祝いなどで数万円を渡したことがあります。そのため健太さんは、今回も協力してもらえると考えていたようです。

 

しかし、年金月17万円で暮らす洋子さんにとって、7万円は簡単に出せる金額ではありません。

 

「自分の分は払うつもりだったけど、7万円となると、ちょっと考えさせて」

 

すると健太さんは、深く考える様子もなく言いました。

 

「お金を出せないなら、無理に来なくていいよ」

 

その言葉に、洋子さんは返事ができませんでした。

 

「私が一緒に行くことより、お金を出すことを期待されていたのかなって。そんなつもりで誘ってくれたわけじゃないと思いたいんですけど……」

次ページ息子の言葉が残したわだかまり

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