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残高500万円を見て「まだ使える」と思えた理由
洋子さんが通帳を確認するのは、残高がいくら残っているかだけを見るためではありません。
「今月はいくら使ったか。何に使ったか。それを見ています」
以前は、残高が前月より減っていると不安になりました。現在は違います。
「減った理由がわかっていて、生活に必要なお金も確保できているなら、それでいいと思うようになりました」
もちろん、500万円あれば十分という意味ではありません。
医療や介護、住宅の修繕など、これからまとまった支出が発生する可能性もあります。だからこそ洋子さんは、貯金を使い切るつもりもありません。毎月の生活費とは別に、当面必要になるお金は手元に残す。そのうえで、残った範囲から「今年やりたいこと」にお金を回す。それが現在の基準です。
「何歳まで生きるかわからないから、全部計算して使うのは難しいですよね。でも、何も使わずに終わるのも違うと思うんです」
洋子さんが大切にしているのは、貯金を減らさないことではありません。「減らしたお金に納得できるかどうか」です。たとえば、友人との食事に使った3,000円なら、「楽しかったからよかった」と思える。一方で、必要のないものを衝動買いしてしまった3,000円なら、「これはいらなかった」と振り返る。同じ3,000円でも、自分にとっての意味は違います。
「貯金が500万円になったとき、最初は『もう500万円しかない』と思いましたが、通帳を見ながら、この数年で何に使ったかを考えました」
旅行をした。
娘と食事をした。
古くなった家電を買い替えた。
友人との付き合いも続けた。
「そうしたら、『500万円しかない』じゃなくて、『まだ500万円ある』と笑えるようになったんです」
金融経済教育推進機構『家計の金融行動に関する世論調査(2025年)[単身世帯調査]』によると、70代単身世帯で老後の生活資金源として「金融資産の取り崩し」を挙げる割合は26.6%に上ります。また、子どもがいても「自分の人生を楽しみたいので財産を使い切りたい」と答えた人は22.7%に達します。
貯金を残すことだけに縛られず、納得のいく目的や思い出のために計画的にお金を活用することは、老後の不安を和らげ、心豊かな生活を支える大切な考え方といえそうです。
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