総務省「家計調査」によると、2025年の65歳以上の単身無職世帯では、月平均の実収入13万1,456円に対し、消費支出は14万8,445円でした。 老後の安心は、見た目の派手さだけではわかりません。孫の七五三に惜しまずお金をかける70歳義母。一方、「地味ね」と見下していた嫁の母は、少ない年金でもコツコツ資産形成を続けていました。数年前の七五三で残ったしこりから、43歳の嫁は義母に「今回は遠慮してください」と告げます。
お金なら出すわよ!孫の七五三に大金をかける70歳義母。「地味ね」と見下していた嫁母との〈意外な資産差〉…43歳嫁が「今回は遠慮してください」と告げたワケ ※写真はイメージです/PIXTA

「地味」だった母がコツコツ続けていたこと

実はアキさんが母について改めて考えるようになった背景には、もう1つ理由がありました。

 

ヨウコさんの年金収入は月11万円ほど。決して多くありません。一方で現役時代から、「老後に娘の世話にはなりたくない」と、少額でも貯蓄を続けてきました。余裕が出てからは積立による資産形成にも取り組み、現在の金融資産は約1,800万円。住宅ローンもすでにありません。

 

「母は昔から、『あなたにはあなたの生活があるんだから、老後のお金くらい自分でなんとかする』と言っていました。ブランド物もほとんど買わないし、外食も少ない。義母から見れば、それが“地味”に見えたんだと思います」

 

一方、ユウタさんの両親は、現役時代から旅行や外食が好きでした。親戚付き合いや祝い事にもお金をかけ、孫へのプレゼントも豪華です。アキさんも以前は、「夫の実家はかなり余裕があるんだろう」と思っていました。

 

しかし最近、ユウタさんが両親から今後の生活について相談された際、金融資産が思っていたほど多くないことを知りました。年金収入だけで日常生活に困っているわけではありません。ただ、現役時代とあまり変わらない感覚で旅行や外食、孫への贈り物などにお金を使ってきたこともあり、手元に残っている資産はヨウコさんより少なかったのです。アキさんは、だからといって義両親のお金の使い方が間違っているとは思っていません。

 

「何にお金を使うかはそれぞれですよね。でも、派手に使っている人のほうがお金を持っているとは限らないんだなと思いました。母のことを『地味』と言われるたびに、私もどこかで肩身が狭いような気持ちになっていた。でも、本当は母なりにずっと先のことを考えていたんですよね」

「お金を出すこと」と「主役になること」は別

総務省の「家計調査報告[家計収支編]2025年平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、月平均の実収入が25万4,395円であるのに対し、消費支出は26万3,979円となっています。また、65歳以上の単身無職世帯では、実収入13万1,456円に対し、消費支出は14万8,445円です。

 

もちろん、老後の家計は年金額だけで決まるものではありません。持ち家か賃貸か、どれほど金融資産を保有しているか、毎月どの程度支出するかなどによって大きく異なります。一方、家族へのお祝いも、かけた金額だけでは測れません。孫のためにお金を使うことも、もちろん1つの愛情表現でしょう。しかし、お金を多く負担した人ほど、その家族行事で大きな発言権を持つわけではありません。

 

アキさんが前回の七五三で悔やんでいるのは、義両親がお金を出したことではありません。義両親の勢いに任せるうち、自分の母がずっと遠慮していたことに気づけなかったことでした。

 

今回の七五三では、写真撮影と参拝をしたあと、ヨウコさんが好きな店で食事をする予定です。

 

「前回よりずっと地味だと思います。でも、それでいいんです。今度は母と息子の写真を、たくさん撮ってあげたいと思っています」

 

派手なお祝いも、ささやかなお祝いも、そこに込められた気持ちに優劣はありません。誰がいくら出したかではなく、その場にいる家族がそれぞれ気持ちよく子どもの成長を祝えること。それも家族行事で忘れたくないことの1つではないでしょうか。