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「かわいい孫」への期待が、親子の衝突に
その日の夜、茂さんは息子に電話をかけました。
「そんなに俺が悪かったのか?」
大輔さんは、父親が孫をかわいがってくれていること自体を否定するつもりはないと話しました。ただ、孫の成績や順位について繰り返し言われることには、以前から気になっていたといいます。
茂さんにとっては、息子が小さかったころの子育ての延長線上にあったのかもしれません。しかし、大輔さんには大輔さんなりの子育てがあります。
茂さんは、その後、孫に会うときには順位や成績について自分から言わないようにしました。
「1位を取ってほしいと思う気持ちは、今でもあります。でも、それを言うのは自分の役目じゃなかったんでしょうね」
そう話します。以前とは少し違う形で、孫との関係を続けているといいます。
国立社会保障・人口問題研究所の『第7回全国家庭動向調査』(2022年)によると、子育てや家庭観に関する意識には、親世代と祖父母世代との間で顕著な「世代間のギャップ」が存在します。
たとえば、「男の子は男らしく、女の子は女らしく育てるべきだ」という伝統的な性別役割に関する育児観への賛成割合は、親世代にあたる30代では27.1%にとどまるのに対し、祖父母世代である70歳以上では61.3%と6割を超えており、30ポイント以上の大きな開きがあります。また、「家庭で重要な決定は父親が行うべきだ」という考えも、30代の41.1%に対して70歳以上では67.2%に達します。
かつての子育て規範のもとで「男なら1位を目指せ」「過酷な状況でも耐えるのが美徳」と育ってきた祖父母世代が、善意や励ましでかける言葉であっても、個性の尊重や多様性、パートナーシップを重視する現代の親世代や子世代(孫)にとっては、過剰なプレッシャーや時代遅れの価値観として受け止められかねません。
同調査では、子育ての最も重要な相談相手が従来の「自分の親」から「夫(配偶者)」へとシフトしていることも示されており、かつての成功体験や育児観のまま干渉することが、親子の思わぬ亀裂につながる可能性があるのです。