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「今の家に住めるか」だけでなく「避難できるか」
高橋さん夫妻が見落としていたのは、自宅の中だけを見て住みやすさを考えていたことでした。
普段の生活では、多少の段差や階段があっても、それほど困らないかもしれません。しかし、災害時には荷物を持って移動したり、停電した暗い道を歩いたりする可能性があります。
内閣府の前出調査によると、高齢者が現在の住まいに感じる問題として「住まいが古くなり、いたんでいる」が29.5%で最も多く、次いで「防災面や防犯面で不安がある」が24.4%、「段差や階段等があり使いにくい」が12.7%でした。また、現在の地域に安心して住み続けるために必要なことを尋ねた調査では、「防災対策や治安の良さ」と回答した人が46.2%に上っています。「移動手段や商業施設などの生活環境の利便」も46.1%となりました。高齢期の住まいでは、住宅そのものだけでなく、周辺の環境や移動手段も生活に関わる重要な要素です。
高橋さん夫妻は、防災訓練のあと、自宅と避難経路の見直しを行いました。
まず、夜間の地震に備えて寝室を2階から1階へ変更します。玄関前には手すりを設け、段差の移動もしやすく整えました。さらにハザードマップを確認し、避難所までの複数のルートを実際に歩いてチェックします。これまで使っていた道だけでなく、少し遠回りでも坂や階段の少ない道を選ぶことにしたのです。
和子さんはこう話します。
「家の中だけ見ていたら、階段が大丈夫ならそれでいいと思っていました。でも、避難するときは外に出なければいけません。家から避難所まで歩けるかどうかも考えないといけないと思いました」
高齢期の住まいを考えるとき、室内の段差や浴室、トイレなどを確認することは重要です。それと同時に、災害が起きたときに玄関から外へ出られるか、自宅周辺を安全に移動できるか、避難所まで実際に歩けるかも確認しておきたいところです。
高橋さん夫妻にとって、防災訓練で実際に歩いたことが、万一のことを考えるきっかけになりました。