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「家は残す」と譲らなかった82歳父、51歳長男の提案を拒否
東京都内のIT企業に勤務する佐藤誠さん(51歳・仮名)。妻と2人の子どもの4人家族です。
一方、地方都市の郊外で一人暮らしをしている父・勇さん(82歳・仮名)は、月14万円の公的年金を受給し、築40年の木造一戸建てに住んでいました。さらに先祖代々の墓も自宅から車で30分ほどの場所にあります。
誠さんは今後、仕事や家庭の事情から実家のある地域に戻る予定はありません。そこで帰省した際、父に家と墓について話をしました。
「親父が元気なうちに、家と墓を整理して、住み替えないか」
すると、勇さんは強い口調で答えました。
「先祖代々の家と墓を捨てる気か! 罰当たりなことを言うな!」
勇さんにとって、現在の家は単なる住居ではありませんでした。長年暮らしてきた場所であり、先祖から受け継いだ家でもあったからです。そのため、家や墓を手放すことには強い抵抗がありました。
誠さんは何度か話をしましたが、そのたびに父との話し合いは進みません。これ以上言えば親子関係が悪くなると考え、いったん実家じまいの話をやめることにしました。
総務省『令和5年住宅・土地統計調査(確報集計)』によると、高齢者のいる世帯が住む住宅の81.6%が持ち家であり、高齢期における自宅所有割合の高さが窺えます。一方で、住む人がいなくなった住宅の管理は大きな社会問題です。同調査における全国の空き家数は過去最多の900万2000戸に達し、このうち賃貸・売却用や二次的住宅を除く「その他の空き家」は385万6000戸に上ります。実家は放置されれば防犯や防災上のリスクにもなるため、親が元気な段階から、将来空き家となった際の管理主体や処分方針について親子で話し合っておくことが欠欠かせません。
誠さんと勇さんの間では、その話し合いができないまま時間が過ぎました。
それから半年後、事態が急変します。勇さんが自宅で脳梗塞を発症し、倒れたのです。