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医療費は保険でカバーも… 「日常の前提」が崩れたとき求められる備え
当初予定していたフルタイムでの勤務は物理的に難しくなり、彰さんは会社と相談のうえ、短時間勤務への変更を余儀なくされました。それに伴い、見込んでいた月額22万円の給料は月額11万円へと半減します。経済的に困窮とまではいかなくても、65歳までの貯蓄の切り崩しペースは当初のシミュレーションより早まることになりました。
「旅行の中止も残念でしたが、何より『これから夫婦で楽しもう』と思っていた日常が、一瞬で介護中心の生活に変わってしまった。これまで仕事を最優先してきたので、 妻には本当、申し訳ない。なぜ、私たちがこんな目に……」
これまで描いていたライフプランは、あくまで「夫婦とも健康で、自由な時間が十分にある」という前提の上に成り立っていたことを彰さんは痛感。急遽、今後の生活設計を根本から見直す必要に迫られたのです。
公益財団法人生命保険文化センター『2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査』によると、介護を開始してからの期間は平均で55.0か月(4年7か月)。また、4割以上(42.7%)が4年以上の介護を経験していると回答しています。
彰さんは地域包括支援センターへ相談を行い、ケアマネジャーとともに公的介護保険サービスを活用した体制を整えました。デイサービスや訪問介護を計画的に導入することで、彰さん自身の介護負担を軽減し、短時間勤務を継続できる環境を構築しました。
また、加入している保険の保障内容を改めて確認し、今後の通院やリハビリにかかる費用負担をシミュレーションした上で、生活費を再設定。「健康な時の計画」だけに固執せず、予期せぬ変化に対応できる「二手目の計画」を用意しておくことの大切さを実感したといいます。
「いつ何が起きてもおかしくないという意識を持ち、公的な支援制度や働き方の選択肢をあらかじめ調べておけば楽だった」
老後のライフプランにおいて、想定通りの毎日が続くとは限りません。万が一のリスクが発生した際、速やかに制度を活用し、柔軟に軌道修正できる備えこそが、老後の安心を支える基盤となります。