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孤立を防ぐ「見守り」と地域包括支援センターの活用
翌日の朝、新幹線で駆けつけた健太さんは、荒れ果てた実家の惨状を見て絶句しました。「まさか母さんがこんな状態で生活していたなんて」と、自身の無関心を激しく後悔しました。
過去を振り返ると、予兆はいくつもありました。電話で話す際に同じ質問を何度も繰り返すことが増えていました。また、半年前の帰省時には、冷蔵庫の中に同じ調味料や賞味期限切れの食材が多く詰め込まれていました。健太さんは「高齢になれば誰でも物忘れはある」と軽く考えて見過ごしていたのです。
警察庁の「令和7年における行方不明者の状況」に関する資料では、認知症またはその疑いによって捜索願が出された行方不明者は全国で1万7,345人。大半が届出から3日以内に生存して発見されていますが、発見が遅れると重篤化や事故のリスクが高まります。鍵の紛失や「誰かが家にいる」という被害妄想は、認知症の中核症状や行動・心理症状(BPSD)の典型例。これらを放置すると、徘徊や火災といった命に関わる重大な事故につながる危険があります。
事態の重さを痛感した健太さんは、節子さんとともに自治体が設置している「地域包括支援センター」へ相談に向かいました。地域包括支援センターは、保健師や社会福祉士などが常駐する高齢者の総合相談窓口です。担当職員の迅速な手配により、専門医での受診と要介護認定の手続きが進められました。その結果、節子さんは「要介護2」と判定され、週2回のデイサービス利用と、訪問介護による生活支援を開始することになりました。
「体制は整えたものの、やはり、生活上のリスクは高い。何かあっても、私はすぐに駆けつけることはできません。施設への入居も考えていかないと……」
健太さんは苦渋の決断として、在宅ケアを開始しながら特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームへの入居申請も進めることにしました。
帰省は、親の異変に気づくチャンス。「冷蔵庫の状態」や「ゴミ出しの管理」など、直接確認することが有効。少しでも「おかしい」と感じたら、迷うことなく地域包括支援センターへ相談し、専門家と連携することが深刻な事故を防ぐ鍵となります。