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年金月15万円の現実と71歳での再就職
都内で暮らす村上健二さん(71歳・仮名)は、65歳で定年退職を迎えるまで、中堅メーカーで総務職として勤め上げました。退職後は年金と取り崩す貯蓄で暮らしていましたが、近年の物価高が家計を直撃しました。村上さんの毎月の年金受給額は月約15万円です。住宅ローンは完済していたものの、食費や光熱費の上昇により、毎月3万円から4万円ほどの赤字が発生するようになりました。
「貯金を減らし続けるのは精神的な負担が大きい。身体が動くうちは働こうと考えました」
村上さんは求人情報誌で、自宅近くの商業施設における施設警備員の求人を見つけました。時給は1,200円で、週3日の勤務条件でした。「警備業務は未経験だが大丈夫だろう」と考え、応募を決意しました。
しかし、事務職として長くデスクワークを行ってきた村上さんにとって、現場の作業は想像を超える負担でした。研修を終えた初日、割り当てられたのは駐車場での立ち誘導業務でした。8時間の勤務時間中、昼休憩の45分を除いてほぼ立ち続けなければなりませんでした。
内閣府『令和8年版高齢社会白書』によると、65歳以上の就業者数は増加を続けており、65歳以上の労働力人口は960万人に達しています。特に70歳から74歳の就業率は36.2%(65〜69歳では54.5%)にまで上昇しており、70代前半の3人に1人以上が働く時代となっています。
しかし、高齢者向けの求人市場において、元オフィスワーカーが希望するような事務職の求人は極めて限定的です。実際に提供される求人の多くは警備や清掃、運搬といった身体作業を伴う職種に偏っており、事務経験が豊富なシニアであっても、条件のミスマッチから未経験の身体労働を選択せざるを得ないケースも珍しくありません。
2日目を終えた時点で、村上さんの両足と腰には激しい痛みが走りました。夜は痛みで熟睡できず、湿布を貼って3日目の勤務に向かいました。しかし、勤務開始から3時間後、激痛で足に力が入らなくなり、その場に屈み込んでしまいました。