(※写真はイメージです/PIXTA)
期待を裏切られたシルバーウィーク
そして迎えたシルバーウィーク。待ちに待った息子家族が実家にやってきました。しかし、ツヨシさんの口から出たのは、玄関先での「あ、この前はお金ありがとう」という、あまりにも軽い一言だけ。当の孫であるソウさんに至っては、「ばあちゃん久しぶり! 今日のご飯なに?」と、お金のことには触れてもくれません。
手料理を振る舞いながらも、エツ子さんの心の中にはモヤモヤとした不満が募っていきました。
食後、ソウさんが風呂に行き、ツヨシさんと二人きりになったタイミングで、エツ子さんはたまらず口に出してしまいました。
「ソウちゃんのことだけど……大金をもらったら、直接お礼を伝えさせるべきよ。そのくらい、親ならしっかり子どもにしつけなさいな」
すると、ツヨシさんの顔からスッと笑顔が消えました。少しの沈黙のあと、ため息混じりにこういったのです。
「お金のこと、ソウにはそもそもいってない。何度もいらないっていっただろ。ミワコとも話して、うちの家計は自分たちで責任持つって決めてたんだよ。いきなり大金が送られてきて……突き返すのも角が立つから一応もらったけど、母さんだって年金暮らしでそんなに余裕はないだろ。母さんのしかるべきときに使わせてもらうから。正直、送ってこないでほしかった」
孫を想っての行動が、息子夫婦のプライドを傷つけていたことに気づかされ、エツ子さんはただ黙り込むしかありませんでした。
本当に必要な援助
内閣府『令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)』によると、60歳以上の25.2%が「子や孫の生活費の一部またはほとんどを負担している」と回答。また、今後優先的にお金を使いたいものとして「子や孫のための支出(学費、こづかい等)」を挙げた人も25.8%にのぼります。
高齢期に入り、自分自身の消費よりも「次世代の役に立ちたい」と考えるのは自然な感情であり、実際に多くのシニアが資金援助を行っている実態があります。
では、受け取る側の子世代は本当に「親の援助がなければやっていけない」状態なのでしょうか。
総務省統計局の『家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果』によると、二人以上の世帯の貯蓄現在高は平均2,059万円ですが、平均値を下回る世帯が66.1%と約3分の2を占め、一部の富裕層に偏った分布となっています。しかし、働く世代である「勤労者世帯(二人以上世帯の56.2%)」に絞ってみると、少し違った景色が見えてきます。
◎勤労者世帯の貯蓄現在高平均:1,717万円(前年より138万円・8.7%増)
◎貯蓄保有世帯の中央値:1,015万円(前年947万円)
全体平均よりは少ないものの、勤労者世帯の貯蓄は前年より増加しており、中央値で見ても1,000万円を超えています。子世代は子世代なりに、夫婦で共働きをするなどして教育資金を計画的に準備し、「自分たちの力でやりくりしている」という自負を持っているのかもしれません。
いくら身内であっても、別々の家計を持った独立した家庭です。援助を申し出た際に「自分たちでやるから大丈夫」と断られたのであれば、その言葉と子どもの自立心を尊重することも大切です。勝手な推測でお金を押し付けるのではなく、適度な距離感を保ちながら見守ることこそが、親子関係を良好に保つ秘訣なのではないでしょうか。
【注目のセミナー情報】
【決算対策 】9月25日(金)オンライン開催
「GPUサーバー」はただの設備ではない?
税制優遇を活用する「戦略的資産」としての役割
【事業投資】9月30日(水)オンライン開催
年商1,600万円・年間利益600万円のモデルケースを公開!
信頼のECCブランド「個別指導塾ベストワン」の経営戦略