子や孫の進学に際して、お祝いだけでなく学費の一部を援助する祖父母は少なくありません。喜んでもらいたい、将来の役に立ちたいという純粋な気持ちからのお金であっても、そこには「家族とのつながり」や「感謝」への密かな期待が重なることもあるでしょう。しかしなかには、援助した側が思い描いていた「その後」と現実とのギャップに直面し、深い落胆を抱くケースも。高齢期における子や孫への資金援助の実態と、世代間で生じる自立意識のギャップに迫ります。※事例の人物名はすべて仮名です。
シルバーウィークに期待していました…年金月15万円・71歳祖母、「孫の学費110万円」を振り込むも、息子家族に期待を裏切られたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

孫の大学入学で、息子の家計が心配

地方都市で一人暮らしを営むエツ子さん(71歳)。長年連れ添った夫は2年前に他界し、遺族年金と合わせて月15万円の年金を受け取っています。一人暮らしは寂しさを感じる場面も多く、そんなエツ子さんにとって、都内で暮らす息子・ツヨシさん(48歳)の家族は一番の生きがいでした。特に、今年19歳になった孫のソウさん(仮名)が、一浪の末に無事大学へ合格したことは心から喜ばしく思っていました。

 

ただ、エツ子さんには一つ気がかりが。

 

「ソウちゃんは一浪して予備校代もかかっただろうし、大学の入学金や前期の授業料……。ツヨシは、かなり無理してるんじゃないかしら」

 

春先、エツ子さんはツヨシさんに電話で持ちかけました。

 

「ソウちゃんがいろいろ物入りでしょ。少し援助させてよ。遠慮しないで」

 

しかし、ツヨシさんの返事はそっけないものでした。

 

「気持ちはありがたいけど平気だよ。学費の準備はしてたから。母さんは自分のために使いなよ」

 

エツ子さんが「でもすごくお金かかるじゃない」と食い下がっても、「だから大丈夫だって」と頑なに断られ、その場は引き下がるしかありませんでした。

 

それから数ヵ月が経った、お盆前のこと。ツヨシさんから「今年は俺もミワコ(ツヨシさんの妻)も仕事がバタバタしてるのと、ソウも大学の用事があってさ。お盆はお墓参りに行けそうにないんだ。でも、シルバーウィークには顔を出せると思う」と連絡がありました。

 

その電話口で、孫のソウさんとも少しだけ会話を交わしました。「大学はどう?」と尋ねるエツ子さんに、ソウさんは明るい声でこうこぼしたのです。「楽しいけど、マジで金欠! 毎日バイトばっかしてるよ〜」。

 

電話を切ったあと、エツ子さんの胸に「やっぱり」という思いが広がりました。息子は親に心配をかけまいと強がっていただけで、本当は家計が火の車なのではないか。孫にアルバイト漬けの苦労をさせているなんて。学業が疎かになっているんじゃないか――。

 

居ても立ってもいられなくなったエツ子さんは、自身の貯蓄から110万円をツヨシさんの口座へ振り込み、「お金振り込みました。ソウちゃんのために使ってあげて」とLINEで連絡。するとすぐに、ツヨシさんからLINEで「ありがとう」というスタンプが1つだけ送られてきました。

 

(急に振り込んだから驚いたんでしょう。お盆に来られない分、シルバーウィークに帰ってきたときに、ゆっくりお礼をいわれるかな)

 

このときは、そう思っていました。