念願のマイホームを建てたら、家族や友人を招いてお披露目したい――。そんな楽しみもあるでしょう。しかし、人を招くとなれば、食材の購入から準備、後片づけ、掃除まで、さまざまな負担が発生します。内閣府「令和5年版男女共同参画白書」によると、6歳未満の子どもがいる共働き夫婦では、家事関連時間の77.4%を妻が担っています。神奈川県内に新築一戸建てを建てたサキさん(39歳・仮名)も、夫が勝手に決めた「新居でのBBQ」をきっかけに、費用だけでなく、準備や片づけを誰が担うのかという夫婦間の認識の違いに直面しました。
もう来ないでください!費用約3万円をほぼ負担…新築マイホームでの「BBQ開催」をねだる義妹に〈39歳共働き妻〉がNOを突きつけたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

余った高級肉に、義妹が取り出した保存容器

BBQが終わるころ、サキさんをさらにモヤモヤさせる出来事がありました。食べきれなかった肉や海鮮を見ると、アヤさんが持参していた保存容器を取り出したのです。

 

「このお肉、もう食べないよね? もらって帰っていい?」

 

残っていたのは、ユウタさんが「せっかくだから」と購入した少し高めの牛肉などでした。

 

「もちろん、余っているのなら食べてもらったほうがいい。でも保存容器を持ってきていたことに、『最初から余ったら持って帰るつもりだったのかな』と思ってしまいました」

 

ユウタさんは特に気にする様子もなく、「いいよ、いいよ。持って帰りなよ」と快諾しました。

 

「こちらがお金を出して、準備して、最後は掃除までしているのに、残ったものまで夫が勝手にあげる。『ここは実家じゃないんだけど』と思いました」

 

後日、サキさんはユウタさんに、「アヤさん、ちょっと図々しくない? うちだからまだいいけど、ほかの家でも同じことをしていたら、かなりまずいと思うよ」と伝えました。

 

アヤさん一家は子ども2人を育てる4人家族で、世帯年収もサキさん夫婦には及びません。ユウタさんは、そんな妹一家の事情も気にしていたようです。

 

「あいつだって子ども2人育てながら頑張ってるんだから、これくらいいいじゃん」と、むしろアヤさんをかばいました。

 

サキさんとしても、義妹一家の家計が自分たちより厳しいこと自体を責めるつもりはありませんでした。

 

「お金がないから嫌だったわけではないんです。最初からこちらが多く出すことを当然と思われたり、余ったものまで持って帰ることに何の遠慮もないように見えたりしたことが嫌でした。それを夫が全部『妹は頑張っているから』で済ませるのも引っかかりました」

 

それ以来、サキさんにとってアヤさん一家とのBBQは、「楽しかった家族イベント」ではなく、できればもう繰り返したくない出来事になりました。

念願の新居。ところが夫から「また妹たち呼んだから」

その後、サキさん夫妻は念願のマイホームを建てました。土地探しから始め、キッチンや床材、設備も何度もショールームを回って決めた新築一戸建てです。

 

「決して安い買い物ではないし、これから長く暮らしていく家なので、最初は特に大切に使いたいと思っていました」

 

新築したことを知ったアヤさんから、ほどなくしてユウタさんに連絡が入りました。

 

「新しい家なら、今度またBBQできるよね?」

 

前回のことを思い出したサキさんは、嫌な予感がしたといいます。ところがユウタさんは、「いいじゃん、またやろうよ」と乗り気でした。

 

「私は前回で十分だったんです。でも夫にとっては、みんなで楽しくBBQをした思い出だったんでしょうね」

 

サキさんは、一瞬、自分だけ出かけてしまおうかとも考えました。しかし、自分がいない間に義妹一家が新居を自由に出入りし、キッチンや冷蔵庫を使うのも嫌でした。

「全部元に戻してね」と言うと、夫は黙った

そこでサキさんは、夫に条件を出しました。

 

「どうしてもやりたいなら、やってもいいよ。でも買い出しも準備も全部やってね」さらに、「終わったらキッチンも床もテーブルも、全部掃除して元の状態に戻して。もちろんアヤさんにも『片づけと掃除を手伝って』って言ってね。原状回復は当然だよ。私は何もしないから!」と伝えました。すると、それまでBBQの話をしていたユウタさんは、何も言わなくなったといいます。

 

内閣府「令和5年版男女共同参画白書」によると、6歳未満の子どもがいる共働き夫婦では、家事関連時間の77.4%を妻が担っています。もちろんサキさん夫妻とは家族構成が異なりますが、共働きであっても、家庭内の無償労働が女性側に偏りやすい傾向はみてとれます。

 

サキさんも、前回のBBQでは、買い出しや下ごしらえ、食器の準備、最後の掃除まで多くを担っていました。

 

「そこで初めて、『この人はBBQがしたかったんじゃなくて、お膳立てされたBBQをしたかったんだ』と思いました」

 

サキさんが求めたのは、義妹一家を絶対に呼ばないことではありません。自分が招きたいのであれば、費用や準備、片づけ、掃除まで責任を持ってほしい。それだけでした。しかしユウタさんは、「別に毎週来るわけじゃないだろ。妹なんだから、そんなに嫌がる意味がわからない」と反発したそうです。

 

サキさんも、「ここはあなたの家だけじゃない。私の家でもあるんだよ。人を呼ぶなら、まず相談して」と言い返しました。さらに、「これからも家のことを勝手に決めるなら、一緒に暮らしていく自信がない」と伝えました。

家も、お金も、相手の労力も「共有物」

国土交通省の「令和7年度住宅市場動向調査」によると、注文住宅の住宅購入資金は平均7,646万円。地域や土地取得の有無などによって金額には大きな差がありますが、住宅購入が家計にとって非常に大きな支出であることに変わりはありません。

 

購入後にも住宅ローンや固定資産税、将来の修繕費など、家にかかわる支出は続いていきます。サキさん夫妻にとって、3万円のBBQ代そのものが家計を揺るがすほどの金額だったわけではありません。問題は、誰を家に招くのか、いくら使うのか、誰が準備をして、誰が後片づけをするのかを、夫が一方的に決めていたことでした。

 

結局、2回目のBBQは行われませんでした。現在は、人を家に招くときには事前に2人で相談することにしています。

 

「BBQそのものが嫌だったわけではないんです。『俺が呼びたい。でも準備や掃除は妻がやる』というのが嫌だったんですよね」

 

夫婦2人で手に入れた家と、2人のお金。そして相手の時間や労力。「たかがBBQ」に見えても、それらをどちらか一方が自由に使っていいものだと考えてしまえば、夫婦関係を揺るがすきっかけにもなるのです。

 

 

 

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