(※写真はイメージです/PIXTA)
年金生活のシニア世代の「孫破綻」
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(女性)の平均受給額は月額11万1,413円、男性を含めた全体平均でも月額約16万9,967円となっています。ナオコさんの月14万円という年金額は、亡き夫の遺族年金を受給していることもあり、単身のシニア女性としては上回っており、男性と比較すると平均的な水準です。
一方、総務省「家計調査(2025年)」によると、65歳以上の単身無職世帯における毎月の消費支出は平均14万8,445円。つまり、日常の生活費だけで年金収入がほぼ相殺される構造になっています。ここに近年の物価高や医療費の増額が重なると、別枠での「お祝い金」や「お小遣い」の捻出はダイレクトに家計を圧迫することになるでしょう。
近年、年金受給世代が孫への過剰な金銭支援(お年玉、入学祝い、日常のお小遣い、学費支援など)によって自身の老後資金を枯渇させてしまう「孫破綻」が問題視されています。
シニア世代には「孫にいいおばあちゃんと思われたい」「不自由させたくない」という心理が働きやすく、自分の生活を切り詰めてでも無理をしてしまう傾向があります。しかし、受け取る子や孫の世代からすれば、ある程度年齢を重ねていれば「本当は無理をしてほしくない」「逆に自分も気を遣ってしまう」と、親や祖父母の事情も予想ができているケースも少なくありません。
過剰な金銭支援を回避するためには、年金生活に入った段階で「お祝い金やお小遣いは何歳まで」「毎月ではなく年1回だけ」といった身の丈に合った上限ルールをあらかじめ自分のなかで設けておくことが大切です。
モノやお金を与えることだけが親孝行・孫孝行ではありません。手料理を振る舞ったり、自身の経験や人生の知恵を語り合ったり、一緒に過ごす時間を大切にすることこそが、世代を超えた思い出という資産になります。特に孫が社会人に成長したタイミングなどは、お小遣いという金銭的な関わりを卒業するいい機会です。
孫への愛情ゆえに無理を重ねてしまうシニアは少なくありませんが、本当の家族の絆は金銭の授受だけで維持されるものではありません。自らの生活の安定を守りつつ、お金に頼らない温かな時間の共有へと関係性をアップデートしていくことこそが、互いにとって心地よく持続可能な関係性を築くことに繋がるでしょう。
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