日本年金機構から届く「赤い封筒」。それを無視した先に待つのは厳しい現実です。年金保険料の滞納は決して放置してはいけません。本記事では、Aさん親子の事例から、年金保険料滞納の実態をFPの川淵ゆかり氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
「お前の顔なんか見たくない!」“30歳の誕生日会”の日に次男を実家から追い出したが…。2年後、年金月28万円・月収40万円の高齢両親が激怒した、日本年金機構からの〈次男宛の赤い封筒〉【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

実家に届いた「約35万円」の督促状…国民年金の滞納が招くリスク

次男がアパートに移り住んで約2年が過ぎたころ。母親はAさんから次男の部屋に行くことを許されず、次男がたまに父親の目を盗んで実家へ荷物を取りにくるときしか、顔を見ることができなくなりました。それでも母親は、口には出さなくとも、深夜のコンビニで真面目に働き続ける次男を愛しく思っていたのです。

 

そんな折、日本年金機構から封書が実家に届きました。国民年金保険料の「督促状」です。宛名は次男で、世帯主であるAさんのもとへ届けられたものでした。中身を確認すると、「何度も封書を送っているが、納付もなければなんの連絡もない。このままでは差し押さえになる」という趣旨が記されています。次男は一人暮らしを始める際、転居届を出しただけで住民票は実家に置いたままでした。国民年金法では『世帯主』にも連帯納付義務があるため、住民票上の世帯主である父親のもとへ、滞納の通知と督促が届いたのです。

 

約1年半近くにわたる滞納は、延滞金も加算され、約35万円にも膨らんでいました。両親が慌てて支払いに応じたのは当然のことでしょう。

 

年金保険料滞納後の「催促の順番」

年金保険料を滞納すると、まず届くのが催告のはがきです。それでも納付がないと、続いて封書による「特別催告状」が届きます。特別催告状は3回送られ、封筒の色は、警告が強まるにつれ、青→黄→赤と変わっていきます。それでも無視し続けると、世帯主に連絡が入ったり、最終的には差し押さえになったりします。

 

納付が難しいようであれば、放置せずにまずは年金事務所へ相談しましょう。所得等のケースにより、免除制度が利用できる可能性もあります。年齢が20歳以上50歳未満で前年の所得が一定額以下の方には猶予制度もあります。学生の場合は学生納付特例の利用も可能です。

次男に年金保険料を納めなかった理由を聞きだすと…

当然、Aさんは激怒し、次男のアパートに乗り込もうとする勢いでした。ですが母親が「まずは私が話を聞いてくるから」と必死に宥め、初めて息子の住む部屋へと向かいます。

 

散らかっていて、女性の影もないような部屋で、次男はポツンと一人でスマホをいじっていました。

 

母親が「なんで保険料を納めなかったの? お父さんが全部払ってくれたよ。もう心配しなくていいし、怒らないから理由を話してごらん」とできる限り優しく声を掛けました。

 

すると、次男は「そんなの払わなくてよかったのに。払ってもらって感謝するとでも思ったの?」とスマホから目を離すことなく答えたのです。

 

この言葉に母親は驚きましたが、粘って次の言葉を引き出そうと怒ることなく理由を尋ねました。

 

すると次男からは思いもよらぬ言葉が。