(※写真はイメージです/PIXTA)
「次男の本音」にショックを受けた母親
「僕が65歳まで生きているわけないじゃないか。あんたたちは僕が邪魔なんだろ。大学を中退して10年以上も同じ気持ちで同じ生活だよ。場所がアパートに変わっただけだよ。仕事がなくなったらそこで終わりだし、仮に65歳まで生きていられたとしても年金なんて雀の涙だ。払うだけ無駄じゃないか!」
辛抱強い母親を前に、次男の本音が溢れ出たようです。
この言葉に母親は、思わず次男の手からスマホを振り払い、名前を呼びながら抱きしめ、号泣したといいます。母親は、自分たちの愛情が次男に伝わっていないことにショックを受け、家に戻ってAさんにありのままを伝えました。次男のこととなるといつも感情的だった父親は、このときは怒らず、黙って妻の話に耳を傾け、「私も決して愛情がなかったわけじゃない。ただ、自分も厳しく育てられてきたし、男の子だから強くなってほしかったんだ」とポツリといいます。
さらに続けて、「私ももう70歳を過ぎた。あいつをアパートに追いやったのは、あのアパートをいつか引き継いでもらいたかったからなんだ。あいつは勉強はできなかったけどバカじゃない。真面目で優しい奴だ。あの物件は場所もいいから、しっかりやれば食べていくには困らないはずだ。今度、それとなく伝えてやってくれ」と言葉を紡ぎました。
現在も次男はアパートでの一人暮らしを続けていますが、母親がときどき手料理を届けるようになりました。母親の伝言を通じてAさんの気持ちも少しは理解したせいか、最近はアパート周辺の掃除をしたり、住人たちへの気配りを見せたりする変化が現れました。
懸念だった国民年金保険料についても、現在はちゃんと自分で払うようになったそうです。父親とは相変わらず顔を合わせないものの、途切れていた親子の絆は少しずつ繋がりはじめたようです。
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所
代表
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