日本年金機構から届く「赤い封筒」。それを無視した先に待つのは厳しい現実です。年金保険料の滞納は決して放置してはいけません。本記事では、Aさん親子の事例から、年金保険料滞納の実態をFPの川淵ゆかり氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
「お前の顔なんか見たくない!」“30歳の誕生日会”の日に次男を実家から追い出したが…。2年後、年金月28万円・月収40万円の高齢両親が激怒した、日本年金機構からの〈次男宛の赤い封筒〉【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「次男の本音」にショックを受けた母親

「僕が65歳まで生きているわけないじゃないか。あんたたちは僕が邪魔なんだろ。大学を中退して10年以上も同じ気持ちで同じ生活だよ。場所がアパートに変わっただけだよ。仕事がなくなったらそこで終わりだし、仮に65歳まで生きていられたとしても年金なんて雀の涙だ。払うだけ無駄じゃないか!」

 

辛抱強い母親を前に、次男の本音が溢れ出たようです。

 

この言葉に母親は、思わず次男の手からスマホを振り払い、名前を呼びながら抱きしめ、号泣したといいます。母親は、自分たちの愛情が次男に伝わっていないことにショックを受け、家に戻ってAさんにありのままを伝えました。次男のこととなるといつも感情的だった父親は、このときは怒らず、黙って妻の話に耳を傾け、「私も決して愛情がなかったわけじゃない。ただ、自分も厳しく育てられてきたし、男の子だから強くなってほしかったんだ」とポツリといいます。

 

さらに続けて、「私ももう70歳を過ぎた。あいつをアパートに追いやったのは、あのアパートをいつか引き継いでもらいたかったからなんだ。あいつは勉強はできなかったけどバカじゃない。真面目で優しい奴だ。あの物件は場所もいいから、しっかりやれば食べていくには困らないはずだ。今度、それとなく伝えてやってくれ」と言葉を紡ぎました。

 

現在も次男はアパートでの一人暮らしを続けていますが、母親がときどき手料理を届けるようになりました。母親の伝言を通じてAさんの気持ちも少しは理解したせいか、最近はアパート周辺の掃除をしたり、住人たちへの気配りを見せたりする変化が現れました。

 

懸念だった国民年金保険料についても、現在はちゃんと自分で払うようになったそうです。父親とは相変わらず顔を合わせないものの、途切れていた親子の絆は少しずつ繋がりはじめたようです。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表

 

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