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78歳女性「財布に980円しかない」
「もう完全に終了です。次の年金が入るまで、あと2週間。財布に980円しかないんです」
佐々木洋子さん(78歳・仮名)は、財布の中身を確認してから、しばらく動けなかったといいます。
東京都内の賃貸住宅で一人暮らし。夫とは15年前に死別し、子どもは長男と長女の2人です。ただ、いずれも家庭を持ち、それぞれ関西と九州に住んでいます。
洋子さんの収入は、2カ月に1度支給される老齢年金のみ。月額に換算すると約12万円になります。家賃は5万2000円。水道光熱費は月1万2000円前後です。スマートフォン代や医療費、日用品を合わせると、毎月の固定的な支出だけで7万円を超えます。
残るお金で食費をやりくりしていました。しかし、今年の夏は、例年より電気代がかかりました。暑さを我慢して体調を崩すのも怖く、日中もエアコンを切れません。さらに、暑さで体調を崩し、8月には病院を2回受診。診察代と薬代で合わせて8,000円ほどかかりました。
「年を取ると、病院に行かないわけにもいかない。でも、そのたびに財布の中身を気にしてしまう」
年金受給日までの日数を数えながら、洋子さんは食費を削ります。スーパーでは値引きシールの付いたものや、見切り品だけを狙います。それでも財布は厳しいまま。
総務省『家計調査(家計収支編)』によると、高齢者無職世帯における支出超過の傾向が顕著です。65歳以上の夫婦1組の無職世帯の2025年平均は、可処分所得22万1544円に対し消費支出が26万3979円と、毎月4万2434円の赤字となっています。また、洋子さんのような高齢女性の単身世帯で見ても、2024年平均消費支出は月平均15万5923円に上ります。
こうした年金のみでは毎月数万円規模の不足が生じ、生活維持のために貯蓄を切り崩さざるを得ない厳しい生活実態は、統計データからも明らかです。
洋子さんの場合、夫が亡くなった際に残された預貯金もありました。しかし、家賃や生活費を補うため、少しずつ取り崩してきました。以前は約300万円あった貯金も、現在は約40万円です。
長男に相談することも考えました。しかし、電話をかけることはできませんでした。
「今の人たちも大変でしょ。息子たちも住宅ローンもあるし教育費もある。最近は利上げとか言っているから、余裕があるとは思えない」
それに、と続ける洋子さん。
「息子たちに『お母さん、そんな状態だったの?』って言われるのも嫌だったんです」