定年退職を機に手に入れた、念願の「終の棲家」。豊かな老後を叶えるはずの決断が、時に思わぬ落とし穴となります。あんなに望んだ理想の住まいは、なぜ後悔へと変わってしまったのか――。ある男性の事例から、定年後のマイホーム購入に潜むリスクを紐解きます。※事例の人物名はすべて仮名です。
「公務員時代の退職金2,300万円、全部使ったのに…」60歳定年時、千葉郊外に「終の棲家」を購入。10年後の70歳、“後悔に震えた”ワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

後悔しないシニア世代の「住まい選び」とは

国土交通省の『令和5年住生活総合調査』を見てみると、持ち家に住む65歳以上の高齢夫婦世帯では、バリアフリー化や生活のしやすさを求めた「高齢期の住みやすさ」が住み替えの最も大きな目的となっています。

 

・高齢期の住みやすさ(36.0%)

・住宅の質を向上させるため(15.4%)

 

住宅内および周辺環境のバリアフリーに関する不満や改善ニーズも取り上げられています。住宅の個別要素に対する不満率において、「高齢者への配慮(段差がない等)」は43.4%と最も不満が高い項目となっています。さらに、居住環境の個別要素でも、「敷地やまわりのバリアフリー化の状況」の不満率が43.2%と高くなっています。

 

では、老後の住まい計画で後悔しないためにはどのような点に注意を払うべきでしょうか。

 

まずは「賃貸」でその土地の暮らしを試す

見知らぬ土地や郊外へいきなり持ち家を購入して移住するのではなく、まずは1〜2年ほど賃貸物件で暮らし、実際の利便性や気候、近所付き合いなどを体感してみることがリスク回避に繋がります。

 

敷地や構造の「リスク調査」を徹底する

特に築年数の経過した一戸建てや高低差のある物件の場合、古くなった擁壁の補修費や解体費用が将来的に跳ね上がり、資産価値をゼロにしてしまう恐れがあります。購入前には必ず第三者の専門家による建物調査(インスペクション)や敷地確認を行い、将来的な修繕・擁壁費用などのコストを含めた総合的な判断が必要です。

 

将来の売却を見据えた物件選択

身体が元気な時期の好みだけで選ぶのではなく、生活インフラ(病院、スーパー、公共交通機関)が整っており、万が一の際に売却や賃貸に出しやすい駅近くのコンパクトな物件を視野に入れることが安心に繋がります。

 

身体機能の変化と子の居住地へのアクセス

70代、80代と年齢を重ねるにつれ、医療や介護が必要になる可能性は高まります。子世帯の居住地から極端に離れていない場所を選ぶなど、将来的なサポート体制も考慮に入れた柔軟な住まい選びが求められます。

 

大きな買い物だからこそ、「いまの理想」だけでなく「10年後・20年後の健康状態や資産性」まで見据えた判断が、穏やかな老後を守る鍵となるでしょう。

 

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