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定年退職後、ダラダラしている夫
60歳で定年を迎えた高橋修一さん(60歳・仮名)。大手企業で35年間勤務。定年前の年収は約1,050万円でした。退職金は2,200万円。住宅ローンはすでに完済し、2人の子どもも独立しています。
夫婦2人なら、これまでの貯蓄もある。老後に対する不安はない――定年を機に会社を辞める決断をした理由です。
厚生労働省『令和7年 高年齢者雇用状況等報告』によると、企業の99.9%が65歳までの雇用確保措置を実施しています。同報告のデータでは、定年後に継続雇用を「希望しなかった(=仕事を辞めることを選んだ)」人はわずか6.6%にすぎず、9割以上が定年後も働き続けています。
一方、妻の美香さん(58歳・仮名)は、結婚後も家計を支えてきました。子どもが小さいころは専業主婦でしたが、下の子が小学校に上がってからはパート勤務。現在は週4日働き、月8万円ほどを得ています。
定年後、修一さんのライフスタイルは大きく変わりました。
現役時代、朝6時前に起きていたのが、8時過ぎまで寝ているようになりました。起きても着替えることなく、朝食をとり、そのままリビングでテレビを見ます。朝食が遅くても、お昼になるとお腹がすきます。昼食をとると、またテレビです。ひどいときには、美香さんが仕事から帰ってきても、修一さんはパジャマ姿のままということもありました。
「せめて、洗濯物くらい取り込んでくれない?」
そう頼むと、
「俺は35年間、働いてきたんだぞ」
返ってくるのは、そんな言葉でした。
家計にも変化が出ていました。定年前、夫婦の生活費は月30万円ほど。ところが退職後は、修一さんが昼食を外で済ませたり、ゴルフに出かけたりすることで、月35万円近くまで膨らみました。それでも退職金2,200万円がある――これが修一さんの安心材料でした。
「老後、何年あると思ってるの?」
美香さんがそう聞いても、修一さんは耳を貸さなかったといいます。