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長男家族と長女家族が帰省…72歳母の負担
「今年は1週間くらい泊まっていい?」
長男からそう聞かれたとき、佐伯美智子さん(72歳・仮名)は迷わず「いいわよ」と答えました。
長男の健一さん(44歳・仮名)は、妻と小学5年生の娘、小学2年生の息子と遠方で暮らしています。お盆休みくらいしか、まとまって帰省できません。
「せっかく帰ってくるんだから、ゆっくりしていけばいい」
そう思っていました。ところが、実際に7日間の生活が始まると、想像以上に体力を使いました。夫婦2人なら簡単に済ませる朝食も、6人分です。昼食、夕食と続き、買い物の回数も増えました。
「お義母さん、手伝います」
長男の妻から声をかけられても、美智子さんは、「いいの、いいの。せっかく帰ってきたんだから」と断りました。遠くから来てもらった家族に、台所仕事をさせるのも気が引けたからです。
3日目には、近県に住む長女の由美さん(41歳・仮名)一家も合流しました。こちらは夫と小学3年生の娘の3人家族です。
由美さんは、月に1度程度の頻度で顔を出してくれます。
いつもは、「お昼は冷蔵庫にあるもので適当に食べて」と言えます。足りないものがあれば、由美さん自身が買ってきます。台所に立つこともしばしば。一緒に住んでいたころの延長――そんな関係でした。しかし、長男の妻がいる前では、そうはいきません。
「いつものように由美が台所に立つと、義理の娘も気を遣うでしょ。兄一家をもてなすなら、妹一家ももてなさないとバランスが取れないんです」
食事だけではありません。孫への小遣いも同じ金額にしました。長男一家の子ども2人には1人5,000円。長女の娘にも5,000円です。外食やレジャー代も重なり、今回の帰省で普段より約7万円支出が増えました。
「孫の成長とともに、孫関連の出費は大きくなっていくんでしょうね」
美智子さん夫婦の年金は月32万円。貯蓄は2,000万円。持ち家で住宅ローンはありません。余裕がありつつも、老後への不安はつきません。
金融経済教育推進機構『家計の金融行動に関する世論調査(2025年・二人以上世帯調査)』によると、70代・二人以上世帯の平均金融資産は2,416万円(中央値1,178万円)です。また、同世代が老後のために「最低準備しておくべき金融資産残高」とする平均額は1,874万円となっています。
貯蓄2,000万円の美智子さん世帯はこれらの目安を満たしていますが、同調査では70代の67.3%が老後生活に「心配である」と回答しています。いくら資金があっても不安が尽きないのが高齢者世帯のリアルな姿です。