2020年に「パワハラ防止法」が施行されて以降、社会においてハラスメントへの感度が高まりました。部下を指導する立場にある上司としては、「この言い方は大丈夫だろうか」「どこまで踏み込むとパワハラになるのか」と不安を抱え、必要な指導に踏み切れず委縮してしまう場面も少なくないでしょう。とはいえ、部下に指導しなければならない場面は必ず訪れます。本記事では、吉田直実氏の著書『中間管理職の生存戦略 自分の「思い込み」に気づき最適解を見つける本』(ごきげんビジネス出版)より、指導時に上司が気をつけたいポイントをみていきましょう。
部下に「パワハラ」と言われるのが怖いので、何も言えません…「沈黙する上司」が知らずにやってしまう〈新たなハラスメント〉の罠 (※写真はイメージです/PIXTA)

沈黙する上司も、別のかたちのハラスメント

「パワハラ」とは、なんでしょうか。それは、強い言葉での叱責ではなく、「立場を利用して相手を傷つける・支配・萎縮させる行為」ではないかと思うのです。では「指導」とは、なんでしょうか。それは「相手の成長を促すための関わり」ではないかと思うのです。

 

多くの上司は、「どこまで言ったらパワハラか」という「ライン探し」に意識を奪われがちです。どこからがパワハラかの明確な定義としては、厚生労働省のホームページに掲載されているものになるでしょう。

 

しかし、現場で部下からパワハラと声があがる基準の主なものは、「言われた内容」ではなく、「誰から言われたか」ではないでしょうか。同じ言葉でも、日頃ほとんど関わらない上司に突然きつく言われるのと、普段から自分を認めてくれている上司に真剣な表情で言われるのとでは、まったく違う意味になります。

 

つまり「信頼関係」があるかどうかではないでしょうか。信頼関係とは、「相手の言葉の一部がきつく聞こえても、『自分を害するためではない』と受け止められる土台」のことといえるかもしれません。

 

「部下が嫌な顔をしたらパワハラ」「落ち込んだら言いすぎだ」という思い込みも危険です。成長を促す指導であれば、一時的に居心地の悪さや反発が生まれるのは自然なことです。それをすべて避けようとすると、「何も言わない上司」になり、結果として部下の成長機会を奪ってしまいます。これは、別のかたちのハラスメントといってもいいかもしれません。

 

本当に大切なのは、「相手が自分で考え選び取れるよう(相手の成長を促せるよう)に関わること」です。事実を具体的に伝え、「あなたはどう感じたか」「どう改善したいか」と問いかける。日頃から、成果だけでなく努力やプロセスも認める。この積み重ねが「厳しいことも聞く価値がある」という信頼を生みます。

 

今一度、自らに問い直したい。自分は「どこまで言ったらパワハラになるか」ばかり気にしていないか。言わないことで部下の成長の機会を奪っていると考えたことがあるだろうか。

 

 

吉田 直実

なおみ税理士事務所 代表

元国税職員/一般社団法人日本推進カウンセラー協会認定 認知行動療法士

 

【注目のセミナー情報】​​​

【最新・法人決算対策】9月17日(木)オンライン開催
公認会計士が監修!
「短期償却」で手元キャッシュを大きく残す不動産活用

 

【物販事業】9月26日(土)オンライン開催
月額30万~50万円の利益を狙う!
オマカセ型「物販事業運用スキーム」とは?