(※写真はイメージです/PIXTA)
働き方改革で管理職の負担が増える根本原因
「働き方改革」とはなんでしょうか。それは単に残業時間を減らすことではなく、限られた時間でよりよい成果を出すために、「働く前提そのものを組み替える試み」ではないかと思うのです。
では「管理職の負担」とは、なんでしょうか。それは仕事量が多いことだけでなく、「自分だけが責任を背負い込んでいる」という感覚が重なった状態を指すのではないかと思うのです。
働き方改革が進むとき、会社はまず「時間」と「ルール」を変えますが、「目標」と「仕事の中身」を変えるのは後回しになりがちです。その結果、現場のメンバーの時間は減ったのに仕事の総量はほとんど変わらず、そのギャップを埋めるために、管理職が見えないサービス残業や休日対応で穴埋めをしてしまいます。
ここで起きているのは、制度設計の問題だけではなく、「管理職として、最後は自分がなんとかするものだ」という暗黙の前提・思い込みが、本人にも組織にも染みついていることではないでしょうか。上からの期待に応えたい、部下には無理をさせたくない、評価も落としたくない、などといった思いが重なるほど、「自分が抱えれば丸く収まる」という選択肢を無意識に選び続けてしまいます。
しかしそれは、短期的には周囲を守っているようでいて、長期的には自分をすり減らし、組織全体としては「誰かが犠牲にならないと回らない構造」を助長してしまっているのではないでしょうか。
管理職の役割は、穴埋めではなく「マネジメント」
本来、管理職の役割とは、足りない分を自分の時間で埋めることではなく、「足りなくならないように仕事と人の配置を設計すること」であるはずです。もし改革の結果、あなたひとりの負担だけが増えているとしたら、それはあなたの能力が足りないからではなく、「仕事の設計」と「役割の前提」がまだ改革されていないサインだと見ることもできるでしょう。
だからこそ、必要なのは「もっとがんばること」ではなく、「何をやめるか」「どこまでを自分の役割とみなすか」を意識的に再定義することです。その再定義をチームや上司と対話しながら進めたときに初めて、「管理職だけが損をする改革」から、「みんなで持続可能な働き方をつくる改革」へと意味が変わっていきます。
今一度、自らに問い直したい。自分は制度設計の問題を自分のがんばりで埋めようとしていないか。「みんなのため」という言葉の裏で、無意識的に自分だけが抱え込む選択を続けているのではないか。
吉田 直実
なおみ税理士事務所 代表
元国税職員/一般社団法人日本推進カウンセラー協会認定 認知行動療法士
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