2019年に始まった働き方改革。残業には厳しい上限が設けられたほか、コロナ禍を経てテレワークや時短勤務といった柔軟な働き方も広がりました。「残業が減った」「仕事の負担が減った」といった声が聞こえる一方で、そのしわ寄せを受けているのが中間管理職です。本記事では、吉田直実氏の著書『中間管理職の生存戦略 自分の「思い込み」に気づき最適解を見つける本』(ごきげんビジネス出版)より、働き方改革の陰で管理職の負担が増える原因と、その状況を抜け出すためのヒントをみていきましょう。
「働き方改革」で部下は帰らせるが、中間管理職だけが連日残業…「誰かが犠牲にならないと回らない」日本企業の根本的な問題 (※写真はイメージです/PIXTA)

管理職の負担を減らす具体的な方法

1.「業務削減型」と4.「委譲育成型」を組み合わせてみるのはどうでしょうか。

 

働き方改革で管理職の負担が増えているとき、多くの場合、「仕事の総量」と「仕事の持ち主」が曖昧なまま、時間だけが制限されています。その状態で「根性」で乗り切ろうとすると、真っ先にすり減るのは管理職です。そのため、1.で仕事を「見える化」し、「やめる」「簡略化する」「ほかの人に渡す」を意図的に決めていきます。

 

具体的には、1〜2週間、自分の時間の使い方を15分単位くらいで記録します。その一覧に、「会社として絶対に必要な仕事」「なくしても誰も困らない・困らなさそうな仕事」「やり方を変えればもっと短くできる仕事」などと、色分けをしてみましょう。そのうえで、上司とチームに共有し、「この報告は月1回にしてはどうか」「この会議は目的を絞って30分にしないか」と、やめる・減らす候補を合意形成していきます。

 

同時に、4.の発想で、「自分しかやっていないが、本当は部下にもできる仕事」をピックアップしましょう。最初からすべてを任せるのではなく、「最初のドラフトだけお願いする」「決裁前のチェックだけ任せる」など、仕事の一部を切り出して委譲します。任せた仕事については、「できたかどうか」だけでなく、「やってみてどうだったか」「どこが難しかったか」を一緒に振り返り、次に生かす前提で対話することです。

 

このプロセスを繰り返すことで、「時間が足りないから自分が背負う」から、「時間が足りないから仕事のかたちと持ち主を変える」へと発想がスライドしていきます。短期的には手間が増えたように感じるかもしれませんが、3か月、半年というスパンで見たとき、管理職の負担感は確実に変わるでしょう。

 

働き方改革の波に飲み込まれないためには、「自分がもっとがんばる」方向にギアを入れるのではなく、「仕事の構造を変える」ことにマネージャーとしてのエネルギーを使うことが、遠回りに見えて一番の近道だと考えます。