※写真はイメージです/PIXTA
弟が結婚して家を出た実家へ、久しぶりの帰省
北陸地方出身のナオコさん(45歳・仮名)は、大学進学を機に実家を離れ、そのまま東京で就職しました。父親は数年前に他界し、現在は70代の母親が実家で一人暮らしをしています。
母親は子育て中は専業主婦で、その後は短時間のパートなどで働いてきました。現在は自身の老齢年金と、会社員だった夫の死後に受給している遺族厚生年金などを合わせて、月15万円ほどで生活しています。
ナオコさんには5歳下の弟がいます。その弟が昨年、マッチングアプリで会った10歳年下の女性と40歳で結婚しました。それまではずっと実家暮らし。父が働いていた会社のツテで会社員として働いていましたが、家に入れるお金は月2万円ほどでした。食事は母親が作り、洗濯も母親任せです。
ナオコさんは何度か、「もう大人なんだから、少しくらい自分でやらせたほうがいいんじゃない?」と言いました。
しかし母親は、「男の子は仕事があるんだから」「この子は将来、この家を継ぐんだから」と取り合いませんでした。
そんな弟が結婚を機に家を出たと聞き、ナオコさんは久しぶりに実家へ帰りました。
「うちはお金がないから国公立に行って」
ナオコさんが「弟ばかり」と感じるようになったのは、大人になってからではありません。
高校生のころ、大学進学について母親から繰り返し言われた言葉があります。
「うちはお金がないんだから、国公立に入ってもらわないと困るよ」
県外へ進学すれば下宿代もかかります。家計に余裕がないことはナオコさん自身もわかっていたため、「せめて学費は抑えよう」と勉強し、東京の国立大学へ進学しました。進学後は、中学受験塾で時給2,500円のアルバイトを始め、多い月には20万円ほど稼いでいたといいます。奨学金も利用し、生活費はほぼ自分でまかない、実家からの仕送りは受けませんでした。
ところが5歳下の弟の番になると、両親は私立大学への進学を認めました。
「私のときは、お金がないって言っていたよね?」
ナオコさんが尋ねると、母親はこう答えました。
「だって、弟は男の子でしょう。この家を継ぐんだから」
ナオコさんはいまでも、その言葉を覚えています。
「弟が私立に行ったことが嫌だったわけじゃないんです。同じ子どもなのに、“男の子だから”で扱いが変わるのが嫌だったんですよね」
大学進学を機に家を離れた背景には、そんな実家の空気から距離を置きたい気持ちもあったそうです。