※写真はイメージです/PIXTA
4人暮らしの標準的な家族と思っていたが…
加藤美里さん(仮名・42歳)は、夫・直樹さん(仮名・45歳)の顔を見つめ返しました。夫婦共働きで、世帯年収は960万円。小学6年生と小学4年生の子どもの4人家族です。
自宅は郊外の分譲マンション。6年前に4,800万円で購入し、住宅ローンの残高は約3,900万円あります。毎月の返済は11万8,000円。管理費や修繕積立金を合わせると、住居費だけで月14万円ほどになります。食費、光熱費、通信費、保険料、子どもの習い事など――毎月の支出は40万円を超えます。
厚生労働省『2025年 国民生活基礎調査』によると、2024年の「児童のいる世帯」の平均所得金額は857.3万円、全世帯の平均は575.2万円(中央値451万円)となっています。世帯年収960万円の加藤家は平均を上回る所得水準ですが、同調査では児童のいる世帯の実に61.5%が現在の生活意識を「苦しい」と回答しており、教育費や高額な住宅ローンなどを抱える子育て現役世代の負担の重さが窺えます。
美里さんが「うちは標準的」と捉え、将来の老後資金を見据えて厳格な家計管理や毎日の倹約に励むのも、当然です。しかし、そんな妻が抱く危機感や努力とは裏腹に、直樹さんは実家に帰るたび、母親からお金を受け取っていたことが判明します。
「いくらもらったの?」
「1万円とか2万円。母さんがくれるから」
「断らないの?」
「いいじゃん。母さんも喜んでるし」
美里さんが気になったのは金額ではありませんでした。これまでにも、家族で外食をした際、直樹さんが「母さんが出すよ」と言い出すことがありました。帰省のたびに、母親が孫たちにお菓子や洋服を買うことも珍しくありません。
義母の幸子さん(72歳・仮名)は、夫(直樹さんの父)を亡くしてから一人暮らしをしています。年金は月14万円ほどと聞いています。持ち家で住宅ローンはありません。預貯金もあり、生活に困っているわけではありません。だからこそ、直樹さんは「母は余裕がある」と考えていたようです。