(※写真はイメージです/PIXTA)
限界の3日目に突きつけられた一言
気力も体力も限界に達していた3日目の夕方、ミヨさんは「今日でようやく終わる」と胸を撫で下ろしていました。ところが、荷造りを始める気配のない息子が、リビングでスマホを見ながら事もなげにこう言い放ったのです。
「高速道路がすごく混んでるみたいなんだよね。どうせ急ぎじゃないし、明後日くらいまでもう2日ほどいようかな」
お盆の帰省ラッシュで道路が混雑することなど、最初からわかっていたはずです。それにもかかわらず、親の負担や限界にまったく配慮せず、行き当たりばったりで滞在を延ばそうとする息子の態度に、ミヨさんは絶句しました。
「もう食材もないし体もキツい」と断りたかったミヨさんですが、せっかく帰省してくれた息子家族に面と向かって「帰ってほしい」とはいえず、結局その提案を受け入れてしまいました。
その結果、予定外の2日間が加わり、滞在は合計5日間におよぶことになりました。追加の買い出しでさらにお金は飛んでいき、献立を絞り出しながら休む間もなく家事を続けたミヨさんの限界値は完全に超えていました。相変わらず、孫とはろくな会話もできず、みんなスマホに夢中です。
5日目の最終日、ようやく息子一家が去ったあとの家には、散らかった部屋と山のような洗濯物、空になった冷蔵庫と財布だけが残されました。
張り詰めていた糸がプツリと切れた途端、全身の痛みと猛烈なだるさがミヨさんを襲い、結局そのまま1週間も布団から起き上がれない状態になってしまったのです。
夫が気遣ってくれましたが、家事はまともにできません。ミヨさんは、「もう孫は十分です……」と深くため息をつくしかありませんでした。
高齢親の限界
物価高が家計を直撃する現在、家族揃っての旅行は大きな支出になります。そのため子世代にとっては、「実家への帰省なら安く済み、気も遣わずに羽を伸ばせる」と考えてしまうのかもしれません。しかし、その「節約」と「気安さ」のツケは、そのまま高齢の親の財布と身体へと回されることになります。
子世代の無意識の甘えが親の健康や老後資金を脅かす事態を防ぎ、互いに心地よい関係を保つためには、以下のような意識改革が必要です。
「実家=タダで泊まれるホテル」ではない
子世代にとっての実家帰省は「レジャー代の節約」になり得ますが、年金生活の親にとっては大きな持ち出しになります。滞在中の食費や外食費は子世代が負担する、自ら食材を買って持参するなど、金銭面での配慮が不可欠です。
親の体力や事情を最優先にした「無理のないスケジュール」
高齢の親にとって、大人数の滞在や毎日の家事サポートは若年層が想像する以上に重労働です。1〜2泊程度の短期間にとどめる、食事の準備や片付けは子世代が主体となって行うなど、親に負担を丸投げしない計画立てが求められます。
親側からの「断る勇気」
親の側も無理をして「いいおばあちゃん、おじいちゃん」を演じ続ける必要はありません。「体調的に3日が限界だから延長は難しい」「外食にしてほしい」といった境界線をはっきりと伝え、自分自身の健康と生活を守る姿勢が大切です。
子どもや孫との交流は本来楽しいものであるべきです。互いに「自立した大人」として思いやりを持ち、無理のない範囲で付き合うためのルール作りが、今まさに求められています。
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