長年過熱を極めてきた中学受験ブームに、大きな変化の兆しが現れています。右肩上がりだった進学率の推移や地域ごとの格差からは、物価高や学費高騰に直面する親たちの過酷なお金事情が見えてきます。
東京23区「私立中学進学率」最新ランキング…ついに減少へ転じた受験熱と、1位と23位に横たわる「地域間ギャップ」 ※写真はイメージです/PIXTA

1位文京区と23位江戸川区…縮まらない「受験格差」と親の年収ランキングの一致

東京全体では受験熱が落ち着きを見せ始めたものの、23区に目を向けると、依然として凄まじい「地域格差」が存在しています(関連記事:『【ランキング】東京23区「私立中学進学率」…〈令和7年度 公立学校統計調査報告書〉』

 

進学率1位となったのは、定番の教育地区である「文京区」です。卒業生1,752人のうち、約半数に迫る849人が私立中学へ進学しています。一方、最も進学率が低かったのは「江戸川区」で10.59%(卒業生5,580人中、私立進学591人)。1位と23位の差は37.87ポイントと、前年度の40.80ポイントからわずかに縮小したものの、依然として約4.5倍もの圧倒的な格差が開いています。

 

このあまりにも大きい地域格差については、親の年収や資産形成の格差が、そのまま子の進路選択に反映されているといわれています。

 

私立中学進学率でトップクラスを誇る文京区、千代田区、港区、中央区、目黒区は、23区会社員の平均年収ランキングでも軒並み上位に位置するエリアです。これらの都心部には、高年収の夫婦共働き世帯、いわゆる「パワーカップル」や富裕層が流入しており、子に質の高い教育を施す資金力が十分にあります。また、通学に便利な私立中学校が都心に集中しているというロケーションの優位性も影響しているでしょう。

 

一方で、進学率が1割台に留まる足立区、葛飾区、江戸川区などの城東エリアでは、事情が大きく異なります。これらのエリアでは、昔からの住民も多く、地元の中学校を信頼して公立進学を選ぶ家庭が多数派です。

 

さらに、中学受験に必要な高額な教育投資を捻出することが、家計の大きな負担になるという現実的なお金の問題も無視できません。世帯年収800万円〜1,000万円未満の中所得世帯であっても、中学受験の「塾代+学費」の負担は重く、教育貧困に直面するリスクがあります。今回、中学受験率が微減に転じたことは、こうした「無理な教育投資」に多くの親がブレーキをかけ始めた兆候かもしれません。

 

教育への投資は重要であるものの、子の中学受験のために、住宅ローンや親の資産形成、果ては老後資金までを犠牲にしては本末転倒。中学受験はゴールではなく、その先には大学受験や留学、一人暮らしといったさらなる教育資金のピークが待っています。周囲の加熱した空気に流され、「みんな受験するから」という見栄で我が家をすり減らすのは危険です。我が家の経済的なキャパシティを見極め、資産形成と教育投資の絶妙なバランスを維持することが重要です。