長年過熱を極めてきた中学受験ブームに、大きな変化の兆しが現れています。右肩上がりだった進学率の推移や地域ごとの格差からは、物価高や学費高騰に直面する親たちの過酷なお金事情が見えてきます。
東京23区「私立中学進学率」最新ランキング…ついに減少へ転じた受験熱と、1位と23位に横たわる「地域間ギャップ」 ※写真はイメージです/PIXTA

東京都全体の「私立中学進学率」がついに減少へ…長年続いたブームの終焉か?

世間では「学歴がすべてではない」と語られることも多いですが、ビジネスの最前線で戦う多くの親たちは、「学歴がもたらす選択肢の多さ」を痛感しています。

 

だからこそ、わが子には少しでも恵まれた教育環境を与えたいと願うのでしょう。その結果、近年は中学受験への関心が異常なほどに高まり、東京23区においては「受験することが当たり前」という空気が定着していました。しかし、東京都教育委員会『令和7年度公立学校統計調査(義務教育就学状況及び進路状況等調査)』によると、これまで一貫して上昇を続けてきた私立中学への進学率に陰りが見えてきました。

 

最新の統計データによると、令和6年度に東京都の公立小学校を卒業したのは9万8,264人で、前年度の9万7,572人から692人増加しました。卒業生数は増加傾向にあるものの、そのうち都内の私立中学校に進学したのは1万9,572人。前年度の1万9,655人から83人減少しているのです。全体に占める私立進学者の割合は19.92%となり、前年度の20.14%から微減しました。

 

長年、右肩上がりを続けていた中学受験熱が、ついに減少へと転じたのです。これまで「5人に1人が私立に進学する」と言われ、過熱を極めていた東京の中学受験ブームが、ついに天井を迎えた可能性があります。

 

長引く物価高や実質賃金の伸び悩み、そして私立中学の学費そのものの高騰が、親の経済的な限界に達した可能性があります。小4からの3年間の塾代だけで300万円近くかかり、進学後も年間100万円以上の学費が上乗せされる――これに耐えられる世帯が、いよいよ絞られてきたのかもしれません。

 

また、過酷を極める受験競争に対して「受験疲れ」を起こしたことや、都立高校の進学実績の回復もあり、公立中高一貫校や地元の区立中学校でのびのび育てたいと考える家庭がじわじわと増えていることも、今回の微減を裏付けていると考えられます。

 

男女別に内訳を見ていくと、男子の卒業生5万675人に対して私立進学者は9,567人で、進学率は18.88%。一方、女子の卒業生4万7,589人に対して私立進学者は1万5人で、進学率は21.02%でした。女子校の選択肢の豊富さや、女子の中高一貫校志向の根強さもあり、依然として「女子>男子」という受験傾向が継続しています。

 

しかし、全体としての進学率が減少に転じたことは、今後の教育マーケットや各家庭のライフプラン設計に大きな一石を投じることになりそうです。