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「タワマン節税封じ」がもたらした影響
2024年1月、マンション評価の改正(居住用の区分所有財産の評価)が施行されました。これにより、従来の市場価格と相続税評価額の乖離を利用した「タワマン節税」のスキームは事実上終焉を迎えました。
「タワマンがダメなら、普通の都心区分所有マンションを」と考えるのは要注意です。新ルールは階数の高いタワマンだけに限定されず、すべての「区分所有マンション」に適用されるからです。対象になるタワマンが多いだけで、区分所有マンションであっても新ルールの対象になり得るケースがあります。2026年の執筆時点で対象外とされている物件は、一棟所有のアパートや事業用の物件、総階数2階以下の物件などに限られています。
「現金預金」vs「新築アパート建築」…評価額の圧倒的な乖離
現預金をそのまま子に贈与や相続をさせる場合、1億円の現金は1億円の価値としてそのまま課税対象になります。一方で、その1億円を「新築アパートの建築資金」に充てた場合、以下のような何重もの評価減を受けることができます。
・建物の評価減
建物の相続税評価額は、地域にもよりますが通常建築費用の8割〜9割に下がります。さらに他人に貸し出す「貸家」とすることで、借家権割合(一律30%)が控除され、建物単体の評価は5割~7割程度まで圧縮されます。
・土地の評価減
土地は宅地であれば通常、路線価による評価が行われますので、時価と比べて約8割の評価額が利用されます。また、アパートが建つ敷地は「貸家建付地」扱いとなり、自用地の評価から「借地権割合×借家権割合」分(地域によって15%~21%程度)が差し引かれます。
・小規模宅地等の特例の適用
一定の要件を満たすことで、アパートの敷地のうち200m2までの部分について、土地の相続税評価額がさらに50%減額されます。
子をオーナーにする「出口戦略」
真の資産防衛は、単に「親の代の税金を減らす」だけでは完結しません。若いうちから子を「収益物件のオーナー」に据えるという、攻めの出口戦略が家族全体の純資産を最大化することもあります。
たとえば、資産管理法人を設立して、家賃収入の全部、または一部を子の財産として蓄財するというスキームがあります。個人で多額の家賃収入を得ている場合、所得税の累進税率は最大で45%にのぼりますが、それを子(や孫)に役員報酬などで分散することで、税率を抑えながら家族全体の資産を増やすことができます。子は将来の相続税の納税資金を自ら稼ぐことができるという、いわば逆転の発想です。
新築アパート投資の有効性
これからの時代において資産防衛の主役に躍り出るのは、中古物件ではなく、最新の「環境性能」を兼ね備えた新築アパート投資ではないかと考えています。現在、不動産の価値や融資判断において省エネ基準等の環境性能は外せない指標となっています。たとえば、国の定めるZEH水準の新築住宅や、東京都の定める東京ゼロエミ住宅等は、現在の各種税制優遇を享受できるだけでなく、金融機関の融資審査や将来の売却時の査定においても有利に働くことが想定されます。
ZEH水準の新築住宅や認定長期優良住宅等は、住宅ローン控除の控除額が増額されます。また、不動産取得税についても減免される制度になっており、特に東京ゼロエミ住宅に関しては、最大で不動産取得税が全額免除される場合もあります。
また、不動産を用いた相続対策を行う上で一番気を付けたいことは、管理が行き届かないことや、出口戦略が曖昧なことで、「負動産化」してしまうことです。特に次世代へ承継する場合、運営管理の方法や戦略の伝達や共有には細心の注意を払う必要があります。専門知識がないまま、誤った判断をした結果、損失を被ってしまうリスクをヘッジするため、スキーム設計時の思想を一貫して共有できる体制づくりが要となります。
「タワマン節税」という最大の選択肢が制限された今、より評価額を圧縮できる可能性があり、かつ優れた環境性能という付加価値を持つ新築アパートへの投資こそが、賢明な資産防衛の選択肢といえるかもしれません。

