大学全入時代と言われる昨今、「とりあえず大学へ行く」という選択肢が一般化する一方で、親の世代には親なりの切実な本音があります。我が子を思えばこそ、親子でぶつかることもあるようです。事例をご紹介します。※事例の人物名はすべて仮名です。
「それ、兄妹差別だよ」…息子は私大生、高校2年生娘の大学進学費用だけ「出さない」と宣言した月収48万円・50歳父の“言い分” (※写真はイメージです/PIXTA)

貯金があっても「出さない」選択

現在のマモルさんの家庭には、余裕がないわけではありません。マモルさん自身の月収は48万円(賞与別)、一定の貯蓄もあります。しかし、だからといって無条件に娘の大学進学費用を出すつもりはありませんでした。

 

「老後資金を考えると、将来子どもたちに金銭的な迷惑をかけないためにも、親の蓄えを安易に切り崩すわけにはいきません。また、奨学金を借りさせて進学させるという選択肢も反対です。アパレル業界の平均的な給料水準を考えると、卒業後に数百万の奨学金返済を背負わせることは、結果として娘自身を苦しめることになります」

 

サキさんの卒業後の返済リスクや、自分たちの老後資金まで見据えたうえでの判断でした。

親がどこまで教育費を負担するか

大学進学にかかる費用は年々増加しています。全国大学生活協同組合連合会の2024年調査によると、入学前に必要な費用は下宿生で217万円、自宅生でも153万円にのぼります。授業料の値上げが続くうえ、パソコンや自宅で授業を受けるための環境整備など、学習に不可欠な機器の購入も当たり前になりました。

 

こうした教育費の高騰背景があるからこそ、親が「どのような基準で、どこまで教育費を出すのか」という明確な軸を持つことが、家計防衛と子どもの将来のためにこれまで以上に重要となっています。

 

親から見れば「努力や目的に応じて費用を出す」という基準は一貫しており公平な判断です。しかし子ども側から見ると、「兄は私立、妹は不可」という事実だけが切り取られ、「機会が不平等だ」と捉えられがちです。

 

また、定員割れの私立大学に4年間通うコスト(学費約450万+生活費)と、得られるスキル・生涯賃金のバランスを冷静に試算することは重要です。アパレルや服飾関係のように専門学校で実践的に学べる業界であれば、実家通いの専門学校や短大という選択肢は合理的な判断といえます。

 

さらに、子どもの希望をすべて叶えた結果、親が老後破綻して子供の負担になるケースは少なくありません。「親が自立した老後を送ること」自体が、長期的には子どもへの援助となります。

 

高校生の子どもに「差別」ではなく、親の考えを少しでも理解してもらうには、感情論ではなく、具体的な学費・将来の収支シミュレーションを見せながら対話を重ねていく必要があるでしょう。

 

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