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会議後にスマホをみて仰天
午後2時半。都内で働く山本恵さん(48歳・仮名)は、会議を終えてスマートフォンを見た瞬間、息をのみました。母・幸子さん(76歳・仮名)から、10分ほどの間に12件もの着信が入っていたのです。急いで折り返しましたが、電話はつながりません。
嫌な予感がして会社を飛び出し、30分後に実家へ到着すると、玄関の鍵は開いたままでした。リビングは熱気がこもり、室温計は38度を超えています。エアコンは止まったまま。床には、ぐったりと横たわる幸子さんの姿がありました。
「お母さん! しっかりして!」
恵さんはすぐに119番しました。幸子さんは軽度の熱中症と診断され、経過観察のため2日間入院することになります。退院後、幸子さんは当時を振り返り、「救急車を呼ぶといった正常な判断ができず、娘に助けを求めてしまった」と話しました。意識がぼんやりするなか、頭に浮かんだのは娘の顔だけだったのです。
「恵なら助けてくれると思って、何度も電話したの」
原因は、搬送される3日前にさかのぼります。朝、エアコンの電源を入れても冷たい風が出ませんでした。築36年の戸建てで一人暮らしを続ける幸子さんは、すぐに家電量販店や近所の電器店へ連絡します。しかし修理依頼が集中し、すぐに対応できないと断られます。
買い替えるのであれば、最短1週間で設置工事に行けるという量販店もあったものの、金額は工事費込みで10万円。年金月12万円の幸子さんには大きな負担です。すぐに決断することはできず、そのまま帰路につきます。そしてこの日を迎えた……という顛末だったのです。
内閣府『令和8年版高齢社会白書』によると、高齢者世帯の所得階層別分布では「100〜150万円」が最も多く、公的年金・恩給が家計収入のすべてとなっている世帯も43.4%にのぼります。幸子さんのように、限られた年金収入の中で突発的なエアコンの購入費などを捻出できず、熱中症などの生命の危機に直面する高齢者は少なくありません。
消防庁によると、7月27日~8月2日までの全国の熱中症による救急搬送人員は9,180人。そのうち高齢者は6割を占めています。また全体の4割強が住居内で熱中症となり搬送されています。