内閣府『令和7年 人々のつながりに関する基礎調査結果』によると、同居していない家族や友人と「直接会って話す」機会が「全くない」と答えた人は9.7%に上り、「電話(ビデオ通話含む)」が「全くない」という人は16.4%存在します。加えて、日常生活で不安や悩みを感じている人のうち、15.3%が「家族・親族間の人間関係」をその内容に挙げています。価値観の押しつけは、家族同士の心理的距離を広げ、家族のつながりを損なう引き金になりかねません。事例をご紹介します。※事例の人物名はすべて仮名です。
「家族とは認めない」絶縁30年、【父危篤】の知らせを受け実家へ向かった56歳息子…葬儀場で“ひっくり返った”ワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

30年ぶりの実家の変貌ぶり

久しぶりに訪れた実家は、ナルミさんの記憶にある威厳に満ちた屋敷とはまるで別物でした。立派だった庭木は荒れ果て、建物の壁や屋根も傷んだまま放置されており、かつての名士の面影は微塵も残っていませんでした。

 

ナルミさんが到着したときには父・ワタルさんはすでに息を引き取っており、通夜と葬儀の手続きが進められていました。葬儀場の控室で葬儀会社との打ち合わせを行っていたときです。提示された概算の見積書を見た母が「ナルミ、この葬儀代を代わりに払ってほしい」と200万円の葬儀代を請求してきたのです。

 

プライドの高い母がお金を無心してきたことに驚いたナルミさんは、思わずひっくり返ってしまいました。

 

話しを聞くと、ナルミさんと絶縁したあとの父・ワタルさんは事業に失敗し、挽回を狙った投資も裏目に出て膨大な負債を抱え、家柄の資産を使い果たして没落していたそうです。直近では数万円の日常費すら満足に用意できず、日銭すら足りない状態に陥っていました。世間体を気にして親族や周囲にも隠し続けていたため、亡くなった時点で手元には葬儀代すら残っていなかったといいます。

 

「あなたが払ってくれないと、お父さんのお葬式もできない」

 

涙を流して縋り付く母に対し、ナルミさんの心は複雑でした。30年前に自分を家族として否定し、困窮した途端に長男という立場を利用して頼ろうとする都合のよさに、憤りすら覚えたといいます。

 

しかし、亡くなった父をそのまま放置するわけにもいかない現実がありました。結局、ナルミさんはその場で葬儀費用を一括で支払うことに。

 

「このお金は出しますが、金輪際あなたとも関わるつもりはありません。これからは世間体なんて気にせず、生活保護などの行政サービスを頼って生活してください。自分の生活は自分で守ってください」

 

支払いを終えると、ナルミさんは母の引き止めを振り切り、二度と振り返ることなく葬儀場をあとにしました。当時の心境について、ナルミさんはこう語ります。

 

「私をこの世に存在させてくれたことには感謝していますが、それだけです。お金を出したのは自分自身の区切りのため。自分の家庭や資産を脅かしてまで支援するつもりはありません」

親子の支援の線引き

かつて裕福だった実家や、世間体を重んじる親ほど、資金繰りが悪化した際に周囲へ相談できず、極限まで「隠れ困窮」を深めてしまうリスクがあります。そして親の死や倒れ込みをきっかけに、未払いの医療費や葬儀費用、滞納した税金といった金銭的負担が突然子どもへ襲いかかるのです。ここで重要になるのが、「法律上の扶養義務」と「自分の資産防衛」の線引きです。

 

親の負債や生活費を際限なく背負わない

民法上、子どもには親への扶養義務がありますが、それは「自分の生活を壊さない範囲(余裕がある範囲)」にとどまります。自身の教育資金や老後資金を犠牲にしてまで親の生活費を全額補填する義務はありません。

 

限界を迎える前に「生活保護」等の公的制度へつなぐ

親の手元資金が尽きている場合、情や世間体で援助を続けるのではなく、早い段階で自治体の生活福祉課などに相談し、生活保護などのセーフティネットを活用してもらうのが現実的な選択肢でしょう。

 

「相続放棄」の選択肢も視野に入れる

親に負債や未払い金があることが発覚した場合、死後3ヵ月以内に家庭裁判所へ「相続放棄」の手続きを行うことで、親の借金を背負わずに済みます。

 

かつての名士であっても「生活苦の危機」と無縁ではありません。老後の生活を守るためには、これまでのプライドを捨ててでも、住まいや人間関係を含めた「生き方そのもの」を変える覚悟が必要なのかもしれません。

 

【注目のセミナー情報】​​​

【事業投資】8月13日(木)オンライン開催
未経験・1人運営でも目指せる!
『買取大吉』の高収益モデルの全貌

 

【事業投資】8月19日(水)オンライン開催
「信頼と安心」のブランド力を活かした
『ECCの個別指導塾ベストワン』という選択